平畠啓史がJ2後半戦を大展望! やはり上位3チームが相当に優位。強調した重要なポイントは? PO圏内争いは大きく動きそうだ

芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦する平畠啓史氏。そんな唯一無二のJリーグウォッチャーに、混戦必至のJ2リーグ後半戦を大展望してもらった。

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現在、6月27日の午前4時。一日の中で一番目が覚めていて目の玉バッキバキ、覚醒状態中。身体によろしくないような気もするけれど、何年もこんな生活を続けているし、やれユーロだ! やれコパ・アメリカだ! と楽しんでいるサッカーフリークも多くいるはずで、昼間の眠気上等! 朝も昼も夜も関係なくサッカーな日々は続いていく(少しだけしんどいけれど)。

6月27日ということで、前日J2では第19節の試合が1試合行なわれ、2位の長崎が8位のいわきに3-1で勝利した。この試合が行なわれるまでは、消化試合数にばらつきがあり、順位は暫定だったが、これで消化試合数がすべてのクラブ「21」で揃い、長崎が首位に立った。

1位長崎の勝点は「46」。2位横浜FCは「43」。3位清水も「43」。Jリーグの監督経験者の方に話を聞くと、だいたい優勝ラインの勝点は試合数×2とのこと。ここまで21試合消化で2を掛けると「42」なので、上位3クラブはしっかりと勝点を重ねていることになる。

ここ数シーズンは22クラブ、全42節で行なわれていたJ2リーグだが、今シーズンは2クラブ減って20クラブ、全38節のリーグ戦となった。ゆえに単純比較することはできないが、昨シーズンの様子も少し振り返りながら、J2リーグの後半戦に思いを馳せたい。

現在21試合消化ということは、残り17試合。同じく残り17試合となる昨シーズンの25節終了時点の順位表の上位3クラブは、1位町田、2位ヴェルディ、3位磐田。最終順位は1位町田、2位磐田、3位ヴェルディ。昨シーズン、町田は残り17試合の時点でかなり抜け出していたものの、2位磐田から7位長崎まで勝点差は「3」の大混戦だったが、最終的には25節の順位とあまり変わりのない結果に終わっている。

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今シーズンは3位清水と4位岡山の勝点差が「6」開いていることを見ても、やはり上位3チームが相当優位なポジションであると言えるし、6月30日に行なわれる第22節、3位清水対4位岡山はかなり重要な試合となる。

首位に立った長崎は13勝7分1敗。負けたのは第2節の仙台戦のみで、現在19試合負けなし。外国籍選手のクオリティ、秋野央樹のゲームコントロール、加藤大の攻守両面での活躍、落ち着いたビルドアップそして下平隆宏監督の鍛え上げられた筋肉。今シーズンのJ2リーグの中で一番充実した内容を披露している長崎。10月には新スタジアム開業! 最高の形でシーズン終盤を迎えられる可能性は高い。

2位の横浜FCは13勝4分4敗。失点12はJ2最小で得失点+23は長崎と同じ。ディフェンス陣だけが強固というより、チーム全体の守備意識が高い印象。失点の少なさもあってゲーム運びは安定し、さらに得点力も向上し現在6連勝中だ。

福森晃斗の左足は別格で、すでに11アシスト。サイドからの崩しのバリエーションも豊富で、ユーリ・ララ、カプリーニの推進力は凄まじいものがある。連敗は一度もなく大崩れするイメージはしない。最終局面まで優勝、昇格争いの中にいるだろう。

3位清水は14勝1分6敗で勝利数は一番多い。選手のポテンシャルや選手層は十分で優勝、昇格を狙うに値する陣容。ホームでは圧倒的な強さで8勝1分と負けなしだが、アウェーが6勝6敗。ここ最近ではアウェー戦4連敗。このあたりが少し懸念材料である(ポテンシャルから考えても、アウェーでも勝ちだしそうな気もするけれど)。

そして、清水だけではないが、今シーズンのJ2においてとても重要なポイントがある。J2と言えば連戦、過酷な日程などと言われがちだが、7月13、14日に行なわれる第24節が終わると、次の第25節は8月3、4日の開催となり、約3週間のインターバルがある(かなり珍しい)。

ここでの過ごし方や移籍などの補強が、夏場の戦いや終盤戦の戦いを大きく左右する可能性がある。たとえば清水は6月の最後に岡山とホームで戦い、7月最初のゲームはホームで千葉。簡単なゲームではないが、次のアウェーの大分戦がかなり重要になる。

この苦手なアウェーで良い結果を得られないと、落ち着かない3週間のインターバルになってしまう。そして、インターバル明けがアウェーの仙台戦。清水に限ったことではないが、インターバルの過ごし方同様、インターバル前の試合がとても重要で、結果次第では周囲がざわつき始める可能性も出てくる。

今シーズンはインターバル前の24節、3週間のインターバルそしてインターバル明けの25節のチームの表情の変化にも注目のJ2リーグである。

さて、昨シーズンは5位でプレーオフに進出した山形は、残り17試合の時点では12位だった。6位の千葉は15位でプレーオフ圏内まで勝点の差が「10」開いていた。現在プレーオフ圏内6位の山口の勝点は「34」。その山口と10ポイント差で勝点「24」は12位甲府、13位大分、14位藤枝。そう考えると、プレーオフ圏内の争いはまだまだ大きく動きそうだ。インターバルを上手く活用したクラブが、J2の後半戦そして終盤戦の主役になっていくだろう。

取材・文●平畠啓史

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