イズミ 決算/2月期増収減益、電子マネー推進による減価償却費が増加

イズミが6月27日に発表した2024年2月期決算によると、営業収益4711億6600万円(前年同期比2.4%増)、営業利益314億2500万円(6.6%減)、経常利益323億2200万円(6.0%減)、親会社に帰属する当期利益204億8500万円(11.7%減)となった。

主力の小売事業の営業収益は4544億7100万円(2.3%増)、営業利益は254億300万円(11.2%減)。販売費及び一般管理費で、人件費と設備投資に伴う減価償却費が増加した。

外出・旅行・季節歳時などのオケージョン消費への回帰に対して、個々の消費行動の変化に即対応した品ぞろえ・サービス提供態勢に大きく舵を切り、事業を推進した。一方、電気料金、食料品・日用品を中心とした値上がりに対し、高付加価値の商品・サービス提供に努め、値ごろ感を重視した品ぞろえを強化。二極分化する消費嗜好に対応している。

商品面では、多様なニーズに対応しさらに店舗付加価値を高めていくため、総菜・生鮮加工品の自社製造ブランド「zehi(ぜひ)」に新たな4つのシリーズを立ち上げ、幅広いライフスタイルの顧客により魅力的で楽しい売場・商品を提供開始。1周年を記念し、新たに「premium(プレミアム)」、「season(シーズン)」、「balance(バランス)」、「trend(トレンド)」を加え、上質志向・健康志向に応える商品を拡充した。

なお、「zehi」の売上の一部をこども食堂支援のために寄付する取り組みやトレーの素材変更によるCO2削減活動など、持続可能な社会の実現に貢献すべく取り組んでいる。

アダストリアと協業した衣料品ブランド「SHUCA(シュカ)」では、30代~40代の女性をターゲットにした商品に加え、9月末からメンズ向け商品も販売開始。2月には、衣食住分野の商品開発・調達を行うニチリウグループへ加盟した。これにより多様化する顧客ニーズに迅速・柔軟に対応し、持続可能な社会に貢献するとともにスケールメリットを共有。相互に調達力・収益力を高めていく。

店舗面では、2023年6月には旧「ゆめタウン祇園」の建て替えにより「ゆめテラス祇園」(広島市安佐南区)の2階食品館を先行オープン。11月には無印良品やフードコートなどを展開する3階フロアを加え、グランドオープンした。

7月には大型商業施設「ゆめタウン飯塚」(福岡県飯塚市)を開業。開放的で明るい吹き抜けをはじめ、各フロアの特性に合わせたユニバーサルデザイン、飯塚市初のシネマコンプレックスや最新のデジタル技術を取り入れた次世代型テーマパークを導入し、新たな出会いと体験、地域のMIRAIが生まれる交流拠点を目指す。

12月には老朽化した「ユアーズ本浦店」の建て替えにより、マンション併設型の都市型スーパーマーケット「ユアーズ東本浦店」(広島市南区)として開業。シニア層のニーズに応えつつ、総菜や冷凍食品の品ぞろえを強化するなど、ヤングファミリー層への訴求を図った。

一方、既存店では大規模リニューアルを実施。このうち「LECT」(広島市西区)を11月に全館リニューアルし、ハンズとのフランチャイズ2号店で生活雑貨等を幅広く展開する「プラグスマーケット」、中四国地方初出店となる次世代型テーマパーク「リトルプラネット」などをオープン。子育てファミリー世帯やMZ世代向けの商品・サービスが充実している。

春先は、コロナ禍で苦戦を強いられた直営ライフスタイル売場やアパレル・飲食専門店テナントへの集客回復により前年同期を大きく上回って販売が伸長。スポーツ・お出かけ需要の高まりからスニーカーやキャリーケースなどの半耐久消費財の買い替え需要もあった。

食料品では、供給サイドによる国内販売価格の値上げが引き続き継続していることから、価格訴求型の商品を投入。一方、高付加価値商品については、一層品質を高め相対的な値ごろ感を感じるとともに、幅広い選択肢に応えていくべく商品開発に努め、自社製造ブランド「zehi」の新商品や、生活スタイルの変化による時短・簡便・即食商品などが支持を集めている。

夏場は衣料品やテナントのアパレル・飲食専門店が好調であったことに加え、生活雑貨においては日焼け止め等のシーズン化粧品などが大幅に伸長。夏祭りや花火大会などのイベント参加への需要が強まったことで浴衣や水着なども好調に推移した。お盆期間には、台風の影響を受けたものの、都市部からの帰省客の活発な動向により大型商業施設「ゆめタウン」への来店が増加した。

秋口以降、記録的な残暑で気温低下が遅れたことから、直営ライフスタイル売場ではファッション衣料が伸び悩んだ一方、引き続き旺盛な外出需要により、靴・トラベル関連や化粧品、テナントでは飲食専門店は好調に推移。だが、客数の減少や客単価の伸びに一服感がみられ、長期化するインフレに対して生活防衛行動もみられている。

冬場の人流動向は、年末年始の移動が活発化し、休暇を故郷で過ごす人が増加するなど、回復の動きがあった。帰省者増加に伴うハレの日需要拡大を捉え、直営の食料品やテナント専門店では食品物販・飲食・アミューズメントといった、食関連や時間消費カテゴリーが大きく伸長。一方、直営ライフスタイル売場のファッション衣料や寝具類は、暖冬の影響を受けて伸び悩んだ。

コスト面では、仕入条件を見直すとともに、商品ロス管理を徹底することで売上原価の低減に努めた。全社的取り組みとして電力使用量の削減を図る一方で、新規出店ならびに、消費の回復局面入りにより投資効果を得やすくなったことを念頭に既存店のリニューアル投資を強力に推進してきた。

小売周辺事業の営業収益は446億4400万円(9.9%増)、営業利益は57億200万円(22.3%増)。金融事業のゆめカードでは、電子マネー「ゆめか」及びクレジットカードのグループ小売事業店舗、外部加盟店での取扱高が拡大した。これらの推進により、「ゆめか」の累計発行枚数は前期末における974万枚から1023万枚に増えている。

なお、前期に行ったこれらへの投資により減価償却費が増加したことなどで減益となった。

また、2023年5月には、マルヨシセンターとの資本業務提携契約に基づき、四国地域における商品仕入や物流及びシステム統合の実施を決定。これにより、2024年6月から四国地域における業務プロセスの効率化、コスト削減を実現するとともに、迅速かつ正確な物流・配送体制を整備することでサービス品質を高めていく。

2024年1月には、サンライフの株式を100%取得し、子会社化した。同社は地域密着型の食品スーパーとして、長期間にわたり小商圏における存在感を維持。イズミの既存店舗網の空白地帯である大分市内で4店舗を運営しており、新たな市場への参入、市場占有率の向上とのエリア戦略の前進に寄与するものと考えているという。

2月15日に発生したランサムウェア感染被害について、業績に及ぼす影響は軽微だった。

2025年2月期の連結業績予想については、現時点では業績に影響を与える未確定要素が多数存在することから、業績予想を適正かつ合理的に算定することが困難と判断し、未公表としている。合理的に算定可能となった時点で公表するという。

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