朝鮮人追悼碑撤去 群馬・山本知事が韓国大使との面談「断念」 公開範囲で折り合いつかず

山本一太知事

 群馬県立公園群馬の森(アイ・ディー・エー群馬の森、高崎市)にあった朝鮮人労働者の追悼碑の撤去を巡り、山本一太知事は27日の定例会見で、尹徳敏(ユンドクミン)駐日韓国大使から申し入れがあった面談について「断念することになった」と明らかにした。面談の公開範囲を巡って、両者の折り合いがつかなかったことが要因とした。

 県によると、3月下旬に韓国大使館が知事との面談を申し入れて以降、調整を重ねてきた。県側は誤解や憶測を呼ぶことを防ごうと、完全公開での実施を要請したが、大使館側の同意が得られなかった。6月25日、知事名で大使宛に実施断念を伝える書簡を送ったという。

 山本知事は完全公開を求めた理由を「問題の経緯などを考えるとフルオープンが一番誤解がない」と説明。一部を非公開で実施した場合、情報が正確に発信されるか「確信が持てなかった」とし、「県には県、大使には大使の立場がある。県民、国民の前でオープンにやりとりするのが健全」と語った。

 「(面談が)実現しないのは残念」とした上で、「実施しないことで韓国との関係が悪化することはない」との認識を示した。

 追悼碑は設置時の条件に違反したとして、管理する市民団体に代わって県が行政代執行で2月までに撤去した。

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