【韓国ドラマ】Netflix話題作『Missナイト & Missデイ』昼の50代ヒロイン役で注目、イ・ジョンウンはどんな女優?〈前編〉「努力はかならず報われる」を地で行く俳優人生

2018年に行われたミュージカル『地下鉄1号線』リバイバル公演会場

Netflixの最新話題作『Missナイト&Missデイ』は、ひょんなことから20代と50代を、夜と昼で行ったり来たりすることになってしまった就活生の物語だ。

夜の20代ヒロイン、イ・ミジンを演じるのは、『酒飲みな都会の女たち』『応答せよ1997』などのチョン・ウンジ(A pink)。そして昼間、50代に変身してイム・スンとして生きるヒロインをコミカルに演じているのが、『私たちのブルース』『椿の花咲く頃』『パラサイト 半地下の家族』などで有名な演技派女優イ・ジョンウンだ。

ポスト “国民オンマ” (オンマ=母)の呼び声も高いイ・ジョンウン。これまでも数多くの映画やドラマに出演していて、あとから、「あれはイ・ジョンウンだったのか!?」とハッとすることが少なくない。(記事全2回のうち前編)

■ソル・ギョングやファン・ジョンミンと同様、ミュージカルの名作『地下鉄1号線』出身

イ・ジョンウンは1970年生まれで、漢陽大学・演劇映画科在学中の1991年に舞台デビューしていることからもわかるように、早くから演劇の道を志していた人だ。

2011年には、大学路のハクチョン劇場で長年上演されたロックミュージカル『地下鉄1号線』に出演。同作は、ソル・ギョング、ファン・ジョンミン、チョ・スンウ、キム・ヨジン、イ・ジョンウン、アン・ネサン、チャン・ヒョンソン、パン・ウンジンなどを輩出した、名優製造場といわれた舞台だ。イ・ジョンウンは2018年に行われたリバイバル上演にも参加している。

『地下鉄1号線』2018年リバイバル公演のフィナーレ。当時すでに認知度が上がっていたイ・ジョンウンも出演

■日本ドラマのリメイク『女王の教室』でドラマデビュー

イ・ジョンウンのドラマデビューは2013年。日本のドラマのリメイクで、天海祐希が扮した教師を『マスクガール』のコ・ヒョンジョが演じた『女王の教室』だ。イ・ジョンウンはキム・セロンが扮した女生徒のオンマ役だった。

近年のドラマでは、『知ってるワイフ』でハン・ジミン扮するヒロインの認知症のオンマ、『椿の花咲く頃』では幼いヒロイン(コン・ヒョジン)を捨てたオンマ、『まぶしくて ―私たちの時間―』でのヒロイン(ハン・ジミン/キム・ヘジャ)の気丈なオンマなどを演じている。

済州島を舞台にした群像ドラマ『私たちのブルース』では、生活力のある鮮魚店主人に扮し、高校時代の初恋相手で、今は訳ありの銀行支店長(チャ・スンウォン)とのせつないロマンスを演じた。

■『パラサイト 半地下の家族』の家政婦役で数々の助演女優賞に

映画デビューは2000年。パク・チュンフンとソン・ユナ(ソル・ギョングの妻)主演の『不朽の名作』で、チョイ役だがパク・チョルミンの妻を演じた。

2019年には、ソン・ガンホ主演のアカデミー受賞作『パラサイト 半地下の家族』の家政婦役で、大鐘賞映画祭や青龍映画賞で助演女優賞を獲得し、一気に知名度を上げている。

『パラサイト』では、雨の中、家政婦として働いていた豪邸に現れ、留守番していた新たな家政婦(チャン・ヘジン)に「忘れ物があるので家に入れてほしい」と低姿勢で懇願する。

しかし、新たな家政婦らの弱みを握った瞬間、態度が一変。女帝のようにふるまう。その演技のギャップが観客を笑いの渦に巻き込んだ。そして、新たな家政婦らを制圧し、調子に乗って北朝鮮のアナウンサーの真似をするシーンも忘れられない。

役になりきる力が抜きん出ていて、なおかつ器用という稀有な俳優である。(後編に続く)

© 株式会社双葉社