アングル:中国国債、高値更新続く 人民銀行がリスク警告も効果薄

[上海 27日 ロイター] - 中国の国債先物が27日、最高値を更新した。長期債利回りも記録的な水準に低下している。中国人民銀行(中央銀行)が繰り返しリスクを警告しているものの、効果は薄く、国債への資金流入が続いている。

公式統計によると、同国の債券投資信託の運用資産は5月に過去最高の6兆5000億元(8943億ドル)まで拡大。前年同月比で40%増加している。株式市場が不安定な値動きとなる中、低金利の銀行預金から債券に資金がシフトしている。

債券強気相場の背景には、不動産危機、地方政府の債務問題、地政学リスクの高まりなど中国経済に対する投資家の悲観論がある。

中国太平洋保険(集団)のSu Gang最高投資責任者は今週の会議で、市場は国内金利の低下傾向が続くとの見方で総じて一致しているとし、「かつて経験したことのないような長いサイクルに入っている。市場は自信を失っている」と述べた。

人民銀行は熱狂的な債券投資が金融の安定を損ないかねないと警告しているが、投資家の購入は続いており、今週も債券価格は上昇した。

30年物国債先物9月限は27日午前、約0.3%上昇し最高値を記録。10年債先物も高値を更新した。

一方、10年物国債利回りは節目の2.3%を割り込み、4月に記録した2.205%に迫っている。30年物国債利回りも、人民銀行の介入が警戒されていた2.5%の水準を割り込んだ。

銀行はコスト圧縮で貯蓄預金金利を引き下げており、預金者が資金を債券ファンドに移しているとみられる。

人民銀行の統計によると、5月の国内企業の要求払い預金残高は52兆9800億元と2年ぶりの低水準。前年同月比で7.1%減と過去最大の減少を記録した。

5月の債券投資信託の運用資産は過去最高の6兆5000億元。前年同月の4兆6000億元から40%増加している。

景気が低迷する中、融資に消極的な銀行も安全資産とされる国債に多額の投資をしている。優良な貸付先が少ない中小銀行が大手よりも積極的に債券を購入している。

銀行間市場では、商業銀行が全体の71%に相当する約20兆3000億元相当の国債を保有。銀行は政策銀行債など他の元建て債券も購入している。

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