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30日に鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げられる新型基幹ロケット「H3」の3号機には、地球観測衛星「だいち4号」が搭載される。開発責任者を務めた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有川善久プロジェクトマネージャ(46)=鹿児島市出身=に、だいち4号の役割や宇宙開発への思いを聞いた。
-だいち4号の性能や役割は。
「雲や雨を通り抜ける電波を使用し、悪天候や夜間でも地表を3メートル単位で観測できる。災害時の被害状況や国内に111ある活火山の地殻変動、森林面積の増減などを宇宙から確認することで、現地に行く手間を減らせる。海上風速も測定でき、台風の進路予想向上にも役立てられる予定だ」
-「だいち2号」の後継機となる。
「4カ所からの電波を同時に観測できる技術を導入し、一度に観測できる幅は50キロから200キロに広がった。日本全域の観測頻度は年4回から20回に増え、早期に異変を発見することで防災、減災に活用できる」
-だいち4号の製作には約7年かかった。
「衛星はなるべく軽く、限られた大きさの中に機能を集約する必要があり、無駄を省く作業が大切だ。開発時には不具合がつきものだが、徹底的な原因究明が再発防止にもつながる。打ち上げ後は修理ができないので、品質管理には特に気を使った」
「宇宙空間では放射線などの影響で誤作動を起こす可能性があり、どのような対策が必要かを打ち上げ前に徹底的に検証する必要がある。難しい作業だが、そこに衛星ならではの面白さもある」
-だいち2号の開発にも携わった。
「軌道上で予定通り動いた時の達成感は大きかった。2023年6月に愛知県で浸水被害があった際は深夜に緊急観測をし、未明には浸水エリアの情報を防災機関に提供できた。『助かった』との声を聞いた時はすごくうれしかった」
-JAXAに入った理由は。求められる能力は。
「大学、大学院時代に10センチ四方の超小型衛星を製作し、その衛星は実際に宇宙に打ち上げられた。人工衛星を通して社会に役立ちたい、日本の宇宙開発をより良くしていきたいと思った。衛星製作には電波や電源、化学などいろいろな分野の専門家が必要。好きこそものの上手なれで、自分の好きな技術を極めていくことが大事だと思う」
-今後の目標は。
「人工衛星の役割は、打ち上げられてから始まる。だいち4号のデータを多くの人に利用してもらい、気象衛星『ひまわり』のように日本の社会になくてはならない存在にしていきたい。鹿児島の人たちにも、農業や漁業などの課題解決に向けてデータ活用を検討してほしい」
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ありかわ・よしひさ 1978年生まれ。鶴丸高校卒、東京大学大学院修了。大学、大学院で航空宇宙工学を学ぶ。2002年にJAXAの前身の宇宙開発事業団(NASDA)に入り、超高速インターネット衛星「きずな」の開発にも携わった。22年4月から現職。
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