【特集】サッカーと農業の二刀流-未経験から2年目に 若手選手の挑戦と成長 ~FC越後妻有の軌跡~【新潟】

サッカーと農業の二刀流『FC越後妻有』

十日町を拠点に活動する女子サッカーの実業団チーム『FC越後妻有』。
農業に携わりながら、飛躍を目指して練習に励む選手たち。今回は、去年入団した若手選手の奮闘を追いました。

棚田の名所、十日町市。田植えを手伝うのは女子サッカーの実業団チーム『FC越後妻有』の選手達です。NPO法人の職員として、稲作を中心に農業などの地域貢献活動に携わりながら、競技生活を送っています。チームは2015年に発足。この春、新たに2人の選手を迎え、12人で活動しています。

上村美優さん。去年高校を卒業して入団。2年目になりました。スムーズに操縦する上村さんですが、去年は・・・
■山下選手
「前見て前、こっちじゃない。」
■上村美優選手
「ストップ?怖い、手植えでいいや!」

今は、新人の指導にもあたっています。
■上村美優選手
「去年は手植えの方がいいと言っていたが、田植え機の方がいいかもしれない。苗が列になる所が、田植え機の魅力だし達成感がある。」

地元の住民が田植えの応援に駆け付けてくれました。チーム発足当初からのサポーター・佐藤達夫さんです。
■佐藤達夫さん
「こうやって農業に取り組んでくれているのは、本当にありがたいというか、みなさんだいぶ作業になれちゃって農業を楽しんでやっているような感じがして、見ていてもいいですね。」

管理する田んぼは、東京ドーム2つ分ほどの広さ。去年は夏の猛暑で収穫量が3割減、今年も天候に悩まされています。
■石塚康太さん
「少雪の影響があったり、去年干ばつがあったが、それで田んぼにひびが入ってしまって水がどんどん抜けてしまう状況です。」

川の水をポンプでくみ上げるなどしていますが、田植えを断念した田んぼもありました。自然環境と向き合いながら、農業に取り組んでいます。
■上村美優選手
「これがお米になるんだというのを去年成長過程で見たので、ありがたみが分かるから、ご飯をおいしく食べられるのは幸せなことだと感じる。」

農作業の後は、グラウンドに移動しリーグ戦に向けた練習です。
■上村美優選手
「農業からのサッカーは(ちょっと眠くなってしまうけれど)スイッチを入れ替えて、サッカーはサッカーで農業は農業で切替えて、農業で培った力でパワーがみなぎっているからサッカーでもうまく使えています。」

今シーズンは、ここまで5勝2敗1分け。北信越リーグ8チーム中、3位につけています。
高校時代はソフトボール部に所属し入団当初、サッカーの経験が無かった上村さん。1年目は、リーグ戦への出場機会はありませんでした。
■上村美優選手
「できないのが当たり前というのはわかっているけど、先輩たちを見ると早くできるようになりたいなと思うときは、心がくじけそうになったりする。悔しい気持ちはあるけど、やるしかないなという感じ。」

あれから1年。発足当初からチームを支えるキャプテンは、上村選手の成長を感じています。
■石渡美里選手
「仕事もすごく頑張っていて、サッカーもすごく頑張っていて、若いし可愛いしでもしっかりしてきたと思う。」

迎えた今シーズン。ついに、公式戦出場を果たしました。
■上村美優選手
「ホームゲームも出場できて夢が一つ叶って、またもう一つ夢ができて、もっと長時間試合に出てボールを触って自分が点を決めるという目標もできて・・・。」

成長への原動力は、周囲の人々。今年チームに加入し、共同生活をする清﨑選手もそのひとりです。
■上村美優選手
「2月から清﨑選手が入ってきてくれたので明るく元気にやって、それこそ一緒にご飯を作ったり一緒にお出かけをしたり一緒にいろいろな行動をしていてすごく楽しい。本当にありがたいなと思っている。」

そして、いつも応援してくれる地元サポーターの存在です。2年目の今シーズン、サッカーと農業で地域に笑顔を届けます。
■上村美優選手
「(地元の方に)応援ありがとうござますというのをまず伝えて、それで優勝しましたとか、言ったらもっと喜んでもらえるので、恩返しといったら優勝しかないと思っています。元気や笑顔があふれる十日町、地域にしたいと思っている。」

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