歌手・沢知恵さんが岡山少年院で”特別ではない”コンサート「とにかく生きてほしい」

ハンセン病療養所や全国の少年院・刑務所などでコンサートを開いている歌手・沢知恵さんが6月、岡山少年院で歌いました。届けたのは、いつも通りの「特別ではないコンサート」です。

コンサートは、6月7日、岡山市南区の岡山少年院で開かれました。

(歌手・沢知恵さん)
「少年院だから特別こうしようとか、仕掛けようとか、演出しようとかいっさいなく普段の学校のコンサートと違わないですね」

沢知恵さんは、岡山市在住。ハンセン病療養所や少年院・刑務所でもコンサートを開いています。岡山少年院で歌うのは今回が初めてです。

岡山少年院では、中国・四国・近畿から少年46人を収容しています。(6月7日現在)
年齢は概ね12~20歳。11か月間の収容を基本に矯正教育を通じて更生や社会復帰をはかっています。

岡山少年院では、かつては、いわゆる非行少年を中心に収容していました。
少年院法の改正で2015年から情緒障害や発達障害の少年を受け入れ、いまは約6割をしめています。

そんな少年たちを前に、沢さんはいつも通り、歌いました。

(24年間少年院・少年鑑別所に勤務する岡山少年院 久本大亮首席専門官)
「やっぱり人と接してますので正解がわかりません。実際子どもたちを見たら普通に中学校・高校に行っている子どもたちと変わらない表情なんです。

そういうことができる人間に…取り戻すというか、笑ったり『ありがとうございます』って言われたら私たちもうれしい。そういうことを積み重ねて社会に戻って行ってもらえれば」

(沢知恵さん)
「私かもしれない。私の子どもかもしれないという当事者意識をもっともっと持たないといけない。日本のあらゆる問題についてそう感じます」

(岡山少年院 久本大亮首席専門官)
「ここで生活している子どもたちは絶対出ていきます。社会生活に。被害者の思いをしっかり伝えながら、感じられるように指導しながら、あなたたちも今後は幸せになっていかなきゃいけないよと」

(沢知恵さん)
「生きていれば良いことも悪いこともあるけれど、信じられる大人にもきっと出会えるからねって思ってほしい。とにかく生きてほしいです。がんばって。私もがんばるから」

コンサートの後、まもなく出院するという少年は…。

(まもなく出院する少年)
「もう少しで出院なんですけど1か月半くらいで。出院するのは楽しみなんですけど緊張もあって、怖い気持ちもあるんですけど、きょう曲を聴いて自信つけられたんで、ありがとうございました」

沢さんはこの翌日、岡山刑務所でもコンサートを開きました。

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