【シンガポール】日立、法人のDX支援でシングテルと提携[IT]

日立製作所傘下で米国に本拠を置く日立デジタルは、シンガポールの通信最大手シンガポール・テレコム(シングテル)と提携する。両社の技術やプラットフォームを統合し、第5世代(5G)移動通信システムやクラウドサービスを含む包括的な法人向けプラットフォームを構築。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する。

日立デジタルは、法人顧客のDX化や、プレビルド版(既に一定レベルの構造が用意されている状態)の産業用人工知能(AI)ソリューションなどに強みを持つ。

シングテルは5Gネットワークや、エッジコンピューティング(データ処理をデバイス自体やその近くに設置されたサーバーで行うことでスピードや反応時間を大幅に向上させる技術)の円滑な運用に活用できる通信事業者向けプラットフォーム「パラゴン」で特許を保有している。

今回の提携では、日立デジタルが日立グループの米国拠点、日立アメリカのサンタクララR&Dラボにパラゴンを配置する。その後はインダストリー4.0(第4次産業革命)を推進できるよう、米国内の工場でパラゴンを試験的に導入する。

日立のAIソリューションとの相互運用性を検証し、工場でのQA(品質保証)、職場の安全管理、没入型研修(仮想現実=VR=といった最新技術を使って疑似体験できる研修)、予防保守に役立てる。

試験導入ではこのほか、日立の産業向けクラウドアプリケーションやデジタルサービスとパラゴンのシステムを統合。法人向けに低遅延の通信ネットワークを提供できるようにする。

両社の技術ソリューションを組み合わせることでパラゴンの「マルチクラウド(複数のクラウドサービスを組み合わせること)」化を促し、法人顧客が幅広い分野でクラウド運用管理に活用するのを支援する考えだ。

将来的には日立グループで米国に拠点を置く日立デジタルサービスがシングテルの認定システムインテグレーターとして、今回の提携で得た技術を搭載したパラゴンを法人顧客向けに提供する計画だ。

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