中国製EVへのEUの追加関税に反対 独貿易協会会長

中国製EVへのEUの追加関税に反対 独貿易協会会長

広東省広州市にある新エネルギー車メーカー、広汽埃安新能源汽車(AION)のスマート生態工場で稼働する生産ライン。(2023年6月9日撮影、広州=新華社記者/龔兵)

 【新華社ベルリン6月27日】ドイツ連邦経済開発・対外貿易協会(BWA)のミヒャエル・シューマン会長はこのほど、新華社の取材に応じ、中国製電気自動車(EV)に対する欧州連合(EU)の追加関税は「誤ったタイミングに誤ったシグナルを発している」とし、これに反対する考えを表明した。

 EU欧州委員会は、中国のEVに対する反補助金調査の仮決定を発表し、中国から輸入するEVに暫定的な相殺関税を課すとしている。

 シューマン氏は、国際社会に必要なのは対立でなく、開放や協力の強化であり、追加関税は決して問題を解決する有効な手段ではないと強調。中国自動車産業がEV化やスマート化などで実現したイノベーションの成果はドイツにとって極めて大きな参考価値があるとし、EUと中国が建設的な対話を展開することに期待を示した。

 「ドイツの自動車産業はEV化で後れを取っている」。シューマン氏は、環境配慮の流れや低炭素転換がEVの巨大なニーズをもたらしているとし、より多様でコストパフォーマンスの高いEV車種が自動車市場に現れることで、ドイツはこのプロセスをよりすばやく実現できると指摘した。

 EUの自動車業界は国際市場に大きく依存しており、年間1千億ユーロ(1ユーロ=約171円)近くの貿易黒字となっている。2023年にドイツで生産された乗用車約410万台のうち約4分の3は輸出用で、輸出額は1640億ユーロに上った。良好な国際貿易環境はEUの自動車企業にとって極めて重要になる。

 中国の自動車メーカーは自国の研究開発能力を絶えず向上させることで、欧州の顧客に創造的な技術ソリューションを提供することに成功した。ドイツの自動車企業、さらには世界の自動車業界にとっても、この成功がイノベーションの手本になっているという。シューマン氏は、複雑で変わりやすい国際情勢の下、各国は開放的な態度を保ち、公平な競争を堅持し、交流・協力を強めてこそ、共同発展、互恵・ウィンウィンを実現できると述べた。

 シューマン氏は、昨年のドイツの対中直接投資総額は過去最高の119億ユーロに上ったとし、ドイツ企業が中国経済に「信任票」を投じたことを意味すると同時に、中国市場の強大な吸引力を反映してもいると指摘した。中国経済は今年も良好な発展の勢いを見せている。国際通貨基金(IMF)が今年の中国経済の成長見通しを5%に上方修正したことも、ドイツと中国の経済・貿易協力に対するBWAの自信を高めているという。

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