群馬・太田市のラーメン店店長刺殺事件 被告の男に心神耗弱認め懲役11年 前橋地裁判決

 2022年10月に群馬県太田市のラーメン店で男性店長を殺害したとして、殺人の罪に問われた同市、無職の被告の男(32)の裁判員裁判の判決公判が27日、前橋地裁であった。橋本健裁判長は「統合失調症が動機形成と意思決定にかなり強い影響を及ぼしたが、正常な心理に基づいた部分もある程度は残っていた」として、善悪を判断する力が著しく低下した心神耗弱の状態だったと認め、懲役11年(求刑・懲役15年)を言い渡した。

 橋本裁判長は、被告が交際関係にあると思い込んでいた女性に男性店長らが性的暴行を加えたなどと妄想し、強い恨みを抱いたのは「統合失調症の強い影響があった」と認定。一方で、犯行前のためらいや犯行後に自ら通報した様子から「精神障害に完全に支配されていたとはいえない」と指摘した。

 その上で、事前に購入した包丁で男性を複数回突き刺すなどし「計画的で強固な殺意に基づく残忍な犯行」と非難した。

 公判で、弁護側は心神喪失状態で無罪と、検察側は心神耗弱状態だったと主張していた。控訴について、弁護側は「本人と相談して決める」とした。

 判決によると、22年10月30日、同市飯田町にあったラーメン店で、男性店長=当時(42)=の首や胸、腹などを包丁で複数回突き刺し、顔面を複数回切りつけるなどして殺害した。

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