エクセディ、自社開発 “メイドイン・ジャパン” のプロペラ、モータ、ESCのグローバル展開を目指す

by 藤川理絵

写真:エクセディの展示ブース

エクセディは、自動車の駆動系部品の開発から生産まで一貫して手がける総合メーカーだ。アメリカ、メキシコ、ヨーロッパ、ASEAN諸国など、世界25カ国45社の拠点を有し、グローバルで生産・販売を行っている。2020年より、ドローン用のプロペラ、モータ、ESCの新製品開発を開始した。2024年4月からは新規事業として正式にドローンプロジェクトを立ち上げ、本格的な事業推進に乗り出したという。

プロペラ取り付けイメージの展示として、石川エナジーリサーチ「アグリフライヤーTypeR」も参考出品されていた写真:「アグリフライヤーTypeR」

Japan Drone 2024出展の主な目的は3つ。1つめは、エクセディのドローン業界における認知度を改めて向上していくこと。2024年4月に菊池製作所が保有する連結子会社イームズロボティクスの株式を一部取得、5月にも第三者割当増資を引受、出資しており、日本国内のドローン業界におけるプレゼンスを高めつつある同社だが、「まずは会社を知って頂きたい」と同社ドローンプロジェクトディレクターの村田康介氏は言う。

エクセディ ドローンプロジェクトディレクターの村田康介氏写真:エクセディ展示ブースに立つ村田康介氏

2つめは、エクセディが「推進システム」として自社で開発・生産・販売を手がけるプロペラ、モータ、ESCを紹介し、販路を拡大することだ。自社開発のプロペラは、27インチの量産品を販売中で、もう1サイズ小さい26インチを今年8月頃から販売予定だ。

写真:ドローン用プロペラの説明パネル
写真:ドローン用プロペラ、静音プロペラ

自社開発のモータとESCは、2025年3月の販売開始を目標に検証を進めている最中だというが、「いっぱい実証して、いっぱい壊して、段々いいものに仕上がってきている」とのことで市場投入が楽しみな製品ラインナップだ。

写真:モータ、ESC、プロペラブレードロック機構コンセプト
写真:ドローン用モータ、ESCの説明パネル

海外の顧客からの要望を受けて開発したという17インチの樹脂プロペラも、参考出品されていた。中国製品からの切り替え時、「日本製がいい」と白羽の矢がたったようだ。このプロペラと組み合わせて使用できる製品として、東京マイクロ製のドローン用モータも一緒に展示されていた。

写真:ドローン用モータ、17インチプロペラ

また、販売パートナーである米国のメーカー、VERTIQ(ヴァーティック)製のポジショニングセンサー内蔵モータとESCが一体になった各種モジュールも、すでに販売提供可能な量産品として展示されていた。余談だがVERTIQは米軍との取引実績もあるという。

写真:Vertiqの各種モジュール
写真:Vertiq各種モジュールの説明

3つめは、昨年12月に出資したトルコのドローンメーカーbaibars(バイバース)の主力製品、農業散布用ドローン「CT-50s」のお披露目と新規顧客の開拓だ。同機のボディはCFPRとアルミニウム素材で、防水耐久性はIP67。このため、さまざまな地形や気候において運用できる上に、農薬や粉塵などによる腐食や劣化に対して長期間の保護が可能だという。

baibars(バイバース)製 農業散布用ドローン「CT-50s」写真:展示された「CT-50s」
液体タンク容量は50リットル、固形散布システム容量は70リットルで、タンクの交換も容易だという写真:「CT-50s」のタンク
モジュール構造と折り畳み可能なアームでコンパクトに持ち運べる写真:アームを折り畳んだ状態の「CT-50s」

ちなみにbaibarsへの出資の決め手のひとつはスピード感だったという。baibarsには、農業用のドローンだけではなく、物流ドローン、消火用ドローン、照明用ドローンなどのラインナップがあり、とにかく開発と改良のスピードが速いそうだ。

また、トルコは中国に依存しないサプライチェーンを構築できるほど技術的に優れた国だという。今後は、エクセディのグローバルな生産・販売拠点を活用して、baibars製品の販促を強化する。

写真:「CT-50s」のアップ

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