「葉っぱ切り絵」の美術館、福島に開館 精密で幻想的な世界

美術館のフォトスポットで「葉っぱのアクアリウム」を紹介するリトさん

 精密でファンタジーあふれる葉っぱ切り絵で魅了するアーティスト「リト@葉っぱ切り絵」=本名橋本賢治=さん(37)の美術館「リトリーフアートミュージアム福島」が28日、福島市飯坂町に開館する。発達障害の一つ注意欠陥多動性障害(ADHD)を前向きに生かそうと、2020年から独学で制作を開始したリトさん。「夢の一つが実現した」と喜ぶ。

 美術館は、東北で22店舗のミスタードーナツを展開する同市飯坂町の松屋が運営する。松屋は同市飯坂町の片岡鶴太郎美術庭園も運営しており、リトさんの作品に感動し、開館に向けて働きかけてきた。リトさんは各地で個展を開いてきたが、常設美術館は初めて。

 リトさんは、障害のため仕事がうまくいかず転職を繰り返していた。特定の物事に対する集中力を生かし、ボールペンで細かい絵を描いて交流サイト(SNS)で発信していたが、ある日スペインの作家の葉っぱ切り絵に出合い、見よう見まねで葉っぱ切り絵を始めた。大小の魚が泳ぐ水族館を表現した「葉っぱのアクアリウム」でフォロワー数が爆発的に増え、現在は葉っぱ切り絵に専念。毎日のように投稿する作品は世界で注目を集めている。

 リトさんのこだわりは、手で持ったときにも自立し、作品として成り立つこと。葉っぱに下描きし、長いときは8時間かけて、ナイフで地道に切り抜く。美術館内には作品約50点と自宅近くの公園で撮影した写真がセットで飾られ、葉っぱのアクアリウムも並べられている。開館に合わせて制作し、限定公開となる「葉っぱのミュージアムにようこそ!」も展示する。

 28日は午前11時~正午と午後1時~同3時の2回、リトさんのサイン会がある。書籍・カレンダー購入者が対象。先着千人にステッカーを配布する。開館時間は午前9時半~午後5時で、最終入館は同4時半まで。入場料金は一般1200円、シニア千円、高校生800円、中学生以下無料。併設する片岡鶴太郎美術館とセットの場合は一般2千円、シニア1700円、高校生1300円、中学生以下無料。公共機関の利用を呼びかけている。問い合わせはリトリーフアートミュージアム福島(電話090.8783.1313)へ。

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