尊い出合い

 「水の惑星」と呼ばれる地球。文字通り表面のうち約7割が水に覆われ、総量は約14億立方キロメートルといわれる。その約97.5%が海水で、私たちが普段水資源として利用している淡水は約2.5%にすぎない。
 淡水のうち約70%は極地などの氷河に存在し、地下水が約30%。1%未満の中で湖沼、土壌、大気、河川、動植物内の水がまかなわれているとされ、大気中の水は地球の水の総量からすると0.001%に当たる。この大気中の水が、雨や雪となって降ってくる。
 雨や雪は地下にしみこんだり川を伝い海に流れたりし、やがて蒸発し再び大気に拡散される。それぞれの場所に水がとどまる平均の期間は、海には2500年、山の氷河や地下水としては1500年程度。今雨となって降っている水とは、千年ぶりの出合いかもしれない。
 以上、「地球環境水文学」(朝倉書店)などを参考に書き連ねてみたが、雨を尊く感じてもらえただろうか。どんなにありがたくても梅雨は苦手だという声も聞こえてきそうだ。生物や自然環境への恵みの季節だと頭では理解しているのだが、生暖かく湿った空気に当たると、心身ともにこたえる。
 願わくば適量を降らせて、早めに切り上げてもらいたい。最後にもう一つ。日本には春の菜種梅雨、初夏の梅雨、秋のすすき梅雨、初冬の山茶花梅雨などがあり、1年の4分の1ぐらいは梅雨入りしていることに。割り切ってうまく付き合うしかなさそうだ。

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