宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月28日、日本初の月面着陸に成功した「SLIM」について、今後通信できる可能性は低いと明らかにした。
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SLIMの公式X(旧Twitter)アカウントが明らかにした。
「月の夜」を探査機が乗り越えることを「越夜」という。月面は昼に摂氏100度まで上昇する一方、夜には最大で摂氏マイナス170度まで低下する。そして、月の夜は約2週間ほど続く。こうした極端な温度変化、そして極端な低温が長く続く環境は探査機にとって過酷だ。
SLIMはこの越夜を想定した設計ではなかったが、これまでに3度の越夜に成功。分光カメラによる観測を継続するなど、すでに「想定を超える成果」(JAXA)をあげてきた。
一方、5月下旬に4度目の越夜成功に挑むべくSLIMにコマンドを送信したが、応答はなかった。そして6月には太陽フレアで搭載プログラムが部分的に書き換わってしまった可能性も考慮して通信確立に努めたが応答はなかった。「残念だが今後SLIMと通信ができる可能性は低いと考えている」とJAXAはコメントした。
なお、目標としていたデータは最初の越夜を迎える前の段階ですべて取得済み。今回の状況がSLIMの成果に悪影響を与えることはないとしている。