成長と実力見せる夏に 慶應義塾湘南藤沢高校 山下(やました)慶悟(けいご)(3年・中堅手) 藤沢市

「お前はホームランバッターになれる」。木内義和監督からそう言われたのは1年生の頃のティーバッティング練習。その期待が、選手としての軸になっている。

大阪府の出身。中学まで地元の野球クラブに所属し、主将としてチームを全国ベスト8に導いた。全国枠入試で慶應藤沢に入学。一貫校だけに、周囲は幼少期から友達同士という生徒が多い中でもすぐに打ち解けた。明るく元気で、監督曰く「お調子者」。入部以来、部の盛り上げ役だ。一方、寮での一人暮らしで生活に緩みが生じ、忘れ物や遅刻を重ね、謹慎を言い渡されることもあった。

3年にあがり、合同練習でライバル校の緊張感のある様子を目の当たりにし、日々の自分たちに「妥協」の気持ちがあることに気づかされた。「主将や副将以外に、みんなを引き締める役割が必要だと考えた」。生活習慣は、夜に計画的に課題をこなすなど、時間の使い方から見直した。チーム内では、練習や試合でミスを慰め合うことが多い中、「主将経験者でもあり、外から来た自分がやらなくては」とあえて厳しい指摘をする役を引き受けた。

目標は部歴代最高のベスト8。「チームも個人も仕上がってきている」。個人としては、監督のお墨付きをもらった2年前から、下半身主導のバッティングフォームを意識した。春の大会では公式戦初の本塁打を放ち、自信に結びついている。「成長した姿や実力を見せ、監督に喜んでもらいたい」と、最後の夏に覚悟を示した。

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