福島県警本部 わいせつ疑い巡査長逮捕 郡山北署本宮分庁舎所属 10代女性被害

 10代女性にわいせつな行為をしたとして、県警本部刑事総務課は27日午前8時ごろ、不同意わいせつの疑いで、三春町下舞木、郡山北署本宮分庁舎地域係員で巡査長の男(42)を逮捕した。県外で警察官の不祥事が相次いでいる中、警察組織への信頼を失墜させる事件が県内でも起きた。県民からは再発防止の徹底を求める声が上がっている。県警の現職警察官の逮捕は2021(令和3)年4月、郡山署地域課係長の警部補が道交法違反(酒気帯び運転)容疑で現行犯逮捕されて以来。

 逮捕容疑は5月19日午後4時40分ごろ、郡山市内の商業施設で、買い物をしていた県内在住の10代女性に近づき、偶然を装って手のひらで女性の尻を服の上から1回もむなどのわいせつな行為をした疑い。県警本部監察課によると、容疑をおおむね認めている。

 県警は5月20日、被害女性からの届け出を受け捜査に着手。店内の防犯カメラに犯行の様子が写っていた。6月8日、容疑者とよく似た男が再来店したと商業施設の関係者から連絡を受け、駆け付けた郡山署員が職務質問したところ、巡査長の男と判明。任意で事情聴取していた。

 調べでは、犯行当日は勤務明けの休日だった。巡査長は犯行をおおむね認め、「(被害女性に)つらい思いをさせてしまい、大変申し訳なく思っている」と反省しているという。再来店した6月8日も休日だった。9日以降は休暇を取得し出勤せず、自宅待機していた。

 巡査長は2006(平成18)年、県警察官に採用された。主に地域部門と交通部門で勤務。2021年3月の定期人事異動で本宮分庁舎に配属された。勤務態度に特段の問題はなかったという。

 七海暢一首席監察官は27日、県警本部で報道陣に事件概要を説明し、「現職警察官が逮捕されたことは、誠に遺憾。今後の捜査結果を踏まえ、厳正に対処する。被害者はもとより、県民に深くおわび申し上げる」と陳謝した。「県民の信頼を大きく失墜させた。全ての職員が我がこととして重く受け止め、組織のたがが緩まないよう再発防止の徹底を図る」と述べた。

 県警は同日、若田英本部長名の緊急通達を発出した。全ての所属で、幹部による職務倫理教養と身上指導などを徹底する。

■県警警察官による不同意わいせつ容疑事件の経緯

▼5月19日

 勤務明けで休日だった巡査長が郡山市の商業施設を訪れ、午後4時40分ごろ、買い物していた10代女性に近づき、偶然を装って尻をもむなどわいせつな行為をした疑い

▼5月20日

 10代女性が郡山署に被害を届け出る。県警が捜査着手

▼6月8日

 商業施設の防犯カメラに写っていた容疑者とよく似た男が再来店したと、施設関係者から通報を受ける。郡山署の警察官が任意で事情聴取。巡査長はおおむね関与を認める

▼6月27日

 所要の捜査で容疑を裏付けたとして県警本部刑事総務課が午前8時ごろ、巡査長の男を不同意わいせつ容疑で逮捕

■首席監察官「一般人と同じ対応」

 事件概要を説明した七海暢一首席監察官の一問一答は次の通り。

 ―鹿児島県警が一連の不祥事で警察庁の特別監察を受ける事態となり、警察組織に国民の厳しい目が向けられている。こうした状況を勘案しての対応か。

 「全くない。一般人でも同じような対応になると思う。極めて重い罪なので通常逮捕した」

 ―任意捜査ではなく逮捕したのはなぜか。

 「警察官だから、一般人だから、ということではなく、事案の悪質性、重大性などを総合的に判断し、逮捕という判断に至った」

 ―2022(令和4)年に(原発事故)被災地をパトロール中の警察官が空き家から女性用下着などを盗んだ事件では逮捕せず、匿名公表だった。

 「当時の判断については、直接タッチしていないので分からない。今回の不同意わいせつは大変悪質な犯罪なので強制捜査という判断に至った」

■住民から失望の声

 郡山北署本宮分庁舎管内の住民からは失望の声が上がった。本宮市の無職堀内宣秀さん(80)は「地域を守る警察官が罪を犯して逮捕されるなんてとんでもない」と語気を強め、「二度と同じようなことが起こらないよう、しっかりと対策してほしい」と求めた。

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