市職員が部活指導 中学教員の負担減、経験を地域に還元 福島市教委、県内初 時間に応じ手当を支給 通勤、遠征費も

 中学校教職員の長時間労働が課題になる中、福島市教委は7月1日、市職員が報酬を受けながら市立中の部活動を指導する制度を導入する。市教委によると、導入は福島県内初。負担が大きい部活動の指導員として市職員を活用し、教職員の働き方改革につなげる。兼業として認め、時間に応じた手当を支給して安定的に学校に配置し、運動部や文化部などの経験者の専門性を地域に還元する。木幡浩市長が27日、記者会見で発表した。

 校長の推薦を受けた職員を市教委が任用し、スポーツや文化、科学などの部活動の指導に当たってもらう。初年度は最大5人を想定しており、来年度以降に順次増やしていく方針。

 職員としての本務を優先し、指導員としての活動は週8時間、月30時間以内とする。年間の勤務上限は336時間になる。1日当たりの勤務例は【図】の通り。本庁の事務職員の場合、平日は夕方の1時間程度、土日祝日に数時間のまとまった指導に当たることができる。

 指導に当たった職員には1時間当たり1600円の手当の他、通勤手当、遠征の際の旅費などを支払う。国、県、市が3分の1ずつ負担する。

 現在、19校の市立中のうち9校で元教員や一般のスポーツ経験者10人が部活動指導員としてバスケットボールやバレーボールなどを教えている。市職員1人もサッカーを指導しているが、ボランティアの外部コーチの位置付けとなっている。教員は自身が触れたことがない競技の部活動の顧問を担当するケースもある。一方、各競技の部活動指導員はほとんどが経験者で、より専門性の高い技術・知識を生徒に伝えられる。事務職員の他、専門職の任用も想定している。競技の指導だけでなく、消防職員の場合、筋力トレーニングなども助言でき、生徒の力を伸ばすのに役立つ。

 制度は2017(平成29)年度に始まり、国が教員の働き方改革のために進めている。市と市教委は約2200人いる正規職員の力を生かして教職員が授業準備や生徒と向き合う時間を確保できる環境を整えようと導入を決めた。

 福島支部中体連の佐藤力夫会長(信夫中校長)は「部活動をさまざまな方にサポートしていただければ多忙化の解消につながると期待できる。より充実した指導にもなればいい」と歓迎している。

© 株式会社福島民報社