米当局、通信各社のAI音声電話対策を調査 大統領選控え悪用懸念

David Shepardson

[27日 ロイター] - 米連邦通信委員会(FCC)は27日、ローゼンウォーセル委員長が米AT&T、ベライゾン・コミュニケーションズなどの通信事業者や、コムキャストなどのケーブルテレビ会社に対し、人工知能(AI)が生成した自動音声で電話をかける「ロボコール」について、政治的に人を欺く目的のロボコールをどのように取り締まっているか説明を求めたと発表した。

大統領選挙に向けた1月の民主党ニューハンプシャー州予備選の直前に、バイデン大統領の声を装い、投票しないよう呼び掛けるロボコールを有権者にかけたとして、ルイジアナ州の政治コンサルタント、スティーブン・クレイマー氏が5月に起訴された。

FCCは5月、クレイマー氏がAIで生成したバイデン氏の精巧な偽音声「ディープフェイク」を使ったロボコールをかけたとして、600万ドルの罰金を提示。クレイマー氏は無実を主張した。

ローゼンウォーセル氏は各社に宛てた書簡で「AI技術によって、人々を欺き、信頼を裏切る目的のディープフェイクをわれわれのネットワークにあふれさせることが、低コストかつ容易になる」と指摘。「選挙でAI生成音声が候補になりすますのは特に恐ろしい。悪人や詐欺師がAIツールにアクセスしやすくなる中、これをネットワークから排除し続けるために必要なあらゆることをする必要がある」と強調した。

米政界ではAI生成コンテンツが11月の大統領・議会選挙で有権者を欺くとの懸念が広がっている。

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