未発売の「クラウド専用Xbox」、特許文書から全貌が判明

Image:Amazon

約2年前、マイクロソフトはクラウド専用Xbox、コード名「Keystone」を開発中だと認めていた。公式に「低価格のハードウェア」を通じてXbox体験をより身近なものにするとコメントしたが、最終的には発売中止とされていた

それがどんなデバイスだったか、マイクロソフトの特許出願から明らかとなった。

Windows Centralが発見した特許によれば、Keystoneは背面にHDMIポート、イーサネット、電源コネクターを搭載。その前面にはXboxの電源ボタンとUSB-Aポートがあり、右側にはXboxコントローラーのペアリングボタン。底面の円形プレートには、Xbox Series Xの側面と同じ「Hello from Seattle」(シアトルからこんにちは)の刻印があったようだ。

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この特許を出願したクリス・クジャウスキー氏は、Xbox Series X|Sのデザインを主導した人物である。出願されたのは2022年6月で、まさにマイクロソフトがKeystoneの開発を認めた直後のことだ。

マイクロソフトがクラウド専用Xboxを計画していると発表したのが、2021年6月のこと。さらにXbox部門責任者フィル・スペンサー氏はオフィスの棚にKeystoneを披露し(投稿写真の上部中央、コントローラーの横にある白い箱)、Xbox公式アカウントは「古いプロトタイプだ」と説明していた。

ここまで完成に近づきながら、なぜ発売キャンセルとなったのか。2022年末、スペンサー氏は「実際に社内でハードウェアを作ってみると、望んでいたより高価になった」として「スマートTVストリーミングアプリの提供に注力することにした」と語っていた。本来は99~129ドルを目指していたとして、Xbox Series Sの299ドルに近づいてしまったことを示唆していた次第だ

実際、マイクロソフトはスマートTV用のXbox TVアプリをリリース。ほかAndroidデバイス用のXboxクラウドアプリも広く使われている

さらに7月には、一部のAmazon Fire TV向けにXboxアプリが登場する予定だ。もはやアプリを通じて「Xboxクラウド対応プラットフォームを増やす」目的は達成されており、専用ハードを発売する意味は薄そうである。

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