「アレルギーの子どもも食べられるパンを提供したい」妻の背中を押した夫 二人三脚でパン屋を切り盛り

宮崎市に4月にオープンしたパン屋さん。3人の子どもの母親がオープンさせた念願のお店だ。パン屋さんといえば早朝からの仕込みもあり、開業には不安もあったそうだが、背中を押したのは身近にいる家族だった。

宮崎市に4月にオープンしたパン屋さん「さちぱん」。

客からは「よく来る」「子どもたちが好きで」「子どもたちは、もちもちするのが好きみたいで」「米粉パンが好きだから興味があった」など様々な声が聞かれた。

さちぱんは、米粉を使ったパンやお菓子の専門店。作っているのは小野沙智子さんだ。

沙智子さんは、もともと保育園の調理師をしていて、アレルギーの子たちがすごく増えてきて、その子たちにも同じようなパンを提供したいと思ったという。

さちぱんのパン作りは、米粉を作るところから始まる。これがこのお店の大きな特徴で、沙智子さんの両親が宮崎市田野町で育てた米を使用している。

沙智子さんは、「食べられるパンがあってよかったって言って喜んでくれる。やってよかったなって思って、少しでも力になれたと思ってやる活力になる」と話す。

沙智子さんは以前、惣菜店の一角を借りて米粉パンを販売していたが、店主が店を閉めることになり営業できない状況になった。

米粉パンを待つ人のために自分の店を持ちたいという思いがある一方で、3人の子どもの母親でもあるさちこさんは、一歩を踏み出すか迷ったという。

どうしたら…1人でできるという自信が無くて。店舗を構えるという事は、それ以上にパンも作らないといけない。いろんな不安があったという。

沙智子さんに心強い助っ人が…

午前4時過ぎ。さちぱんを訪ねると、そこにはさちこさんの夫・仁さんの姿があった。店のオープンを後押しするため、勤めていた会社を辞めて店を手伝うことにした。

夫・仁さん:
いまのところ4時に僕が来て、妻が子どもたちを送ったあとで来るようにしている。自分が送り出すのも全然ありだと思うけど、子どもたちもママっ子なのでママのほうがいいということで…

仁さんが仕事を辞めた決心の訳は…

夫・仁さん:
パン作りを今後続けていくか、もうやめてしまうのかというところをすごく悩んでいる姿を見て、応援できる形が何かないかなというのは、僕も考えていたところだった

妻・沙智子さん:
夫が手伝うと言った時、正直ちょっと不安で。子どもたちも3人いるし、これからどうなるんだろうって、でも私はやりたいという気持ちのほうが強くて、応援してくれるのであれば一緒にやっていこうかなと考えることができた

これまで営業の仕事をしていた仁さんにとって、パン作りは未知の世界だ。沙智子さんに教えてもらいながら作っていく。

「パンにもっと気持ちを込めてほしい。気持ちを込めると焼き上がりが全然違う。その日によって、子どもたちみたいでパンたちも。その思いも伝わっていけばいいなと思いながら日々過ごしている」と沙智子さんは話す。

夫・仁さん:
そこが一番難しい、今の課題。子どもたちと一緒みたい

妻・沙智子さん:
恥ずかしくて言えないけど、普段、心では感謝の気持ちで。1人ではやっていけなかったので家族の支えがあってからこそのパン屋さんなのかなと思っている

夕方店を閉め、仁さんが向かったのはお迎え。仁さんも新たな一歩を踏み出せたことに喜びを感じている。

仁さんは、「子どもの行事とか行きやすくなった。前は仕事と出張と重なってほとんど行けてない状態が多かった。妻や家族にもありがとうという感じ」と感謝していた。

幸せに感謝し合う夫婦が作るさちぱん。それが美味しさの秘訣なのかもしれない。

(テレビ宮崎)

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