【名古屋×浦和戦】酒井宏樹ら主軸3人の移籍で揺れる浦和「9位浮上」勝利と「世代交代」の波(1)渡邊凌磨「決勝弾」と初先発リンセン、数的優位の「対応」

キャプテンの酒井宏樹らチームの主軸3人が今夏、移籍する見通しの浦和レッズ。原悦生(SONYα1使用)

明治安田J1リーグ第20節、名古屋グランパス(以後、名古屋)対浦和レッズ(以後、浦和)戦が行われた。浦和では今夏、キャプテンのディフェンダー(以降、DF)酒井宏樹がオークランドFC(ニュージーランド)、副主将のDFアレクサンダー・ショルツがアルワクラ(カタール)、ミッドフィルダー(以降、MF)岩尾憲がJ2徳島へ移籍する見通しだ。チーム主軸3人が移籍する異例の事態となった浦和だが、試合は前半7分に渡邊凌磨の得点によって、0-1で浦和の勝利に終わった。

前節から「名古屋は3人、浦和は4人」選手を変更

名古屋は前節の東京ヴェルディ戦から3人の選手を変更する。右サイドバック(以後、SB)に吉田温紀を、左SBには内田宅哉と左サイドハーフに倍井謙が入った。

一方の浦和は、前節の鹿島アントラーズ戦から4人をチェンジしてきた。センターバック(以後、CB)の佐藤瑶大と左SBに大畑歩夢を、さらにフォワード(以後、FW)には、今シーズン初先発のブライアン・リンセンを、前節に2ゴールを挙げた武田英寿をスタメンで起用した。前節にSBだった渡邊をインサイドハーフで使って、渡邊のポジションには大畑を送った。

では、試合のポイントとなった場面を解説していこう。

前半7分の得点「リンセン、ソルバッケンへの対応」

前半7分の浦和の得点シーンを分析する。リンセンのスルーパスがペナルティエリア内のオラ・ソルバッケンにつながる。ペナルティエリア内からソルバッケンが中央へ折り返す。そのクロスが名古屋CBのハ・チャンレの足に当たり、こぼれ球に反応した渡邊が右足でゴール右上にシュートを決めた。

ソルバッケンが左サイドでボールを持ったときは、リンセンに吉田がついている。リンセンが吉田から離れて中にポジショニングをしたときに、後方から追いかけてきた中山克広は状況を見ているだけで、何をやりたかったのかわからない。
ここはリンセンをケアするべきだった。なぜなら、ペナルティエリアの中に名古屋の選手は6人、一方の浦和は4人なので、名古屋は数的優位の立場にあるから、きちんと人につくべきなのである。

また、ワンツーで抜け出したソルバッケンを追いかける吉田は、ソルバッケンの左足のほうを切りながらディフェンスしてペナルティエリアの中で勝負をするのか、最初から縦に行かせるようにケアをしながら勝負するのか、どちらかを選択するべきだった。結局、中途半端な対応になってしまっている。

ソルバッケンのクロスに対して、ハ・チャンレの右足に当たってボールが渡邊の前に落ちていく。ハ・チャンレは、大畑のほうにマイナスのクロスが出されると想定して左足に体重をかけている。しかし、ボールは思ったよりマイナス方向ではなかったので、慌てて足を出してしまったように見える。
では、続いて73分の浦和のコーナーキックの場面を見ていこう。

© 株式会社双葉社