着床出血の特徴や生理との見分け方は? 妊娠のサインはいつ出るの?【医師監修】

妊娠の可能性がある場合、本来の月経予定日ごろに「着床(ちゃくしょう)出血」が起こることがあります。出血が生理なのか着床出血なのか、気になる人もいるでしょう。そこで、着床出血に関するさまざな気がかりについて、総合母子保健センター愛育病院 産婦人科部長で産婦人科医の山下隆博先生監修のもと、わかりやすく解説します。

生理と着床出血はどう違う?見分け方の2つのポイント

着床出血とは妊娠3~4週ごろにある生理初日のような出血のことです。
着床出血は、出血する時期や出血の状態が生理と似通っていることから「どちらの出血かわからない」という不安を持つ人もいます。性交のタイミングや出血の特徴を知り、見分けるときの目安にしてみてください。

ポイント1:性交の有無や性交の時期

着床出血が起こりやすい時期(妊娠週数)カレンダー

性交によって精子が卵子に入って受精が成立すると、受精卵となり6~7日後に子宮内膜に到達。12日後くらいまでに着床が完了します。着床出血は受精後7日~12日後ぐらいに起こることになります。

出血が起こった時期からさかのぼって、1~2週間前に性交渉をした場合は、着床出血であることが考えられます。

ポイント2:出血の色と量と出血が続く期間

出血色見本

個人差はあるものの、生理開始1日目の出血も、着床出血も少量であることが多いため、1日の出血でどちらかを判断するのは難しいでしょう。出血が続く期間がどのくらいか、出血は増えていくかによって、ある程度区別することができます。

着床出血の場合

下着に軽くつく程度の少量の出血であることが多く、1~2日で終わり、長い場合でも4日ほどでおさまることが多いでしょう。
また、生理痛のように腹痛を感じることはほとんどありません。
出血の色:茶色、ピンク色、暗赤色

日ごろの生理と比べて出血量が少ない、腹痛や腰痛、下痢などといった症状が少ない、もしくはないという点が見分けるポイントになります。

生理の場合

2~3日目をピークに出血量が増え、4~7日間続きます。人によっては、血のかたまりが出ることがあったり、生理痛をともなったりします。
出血の色:赤色、暗赤色

着床出血はだれにでもある?なぜ起こる?

妊娠の可能性があると起こる着床出血。そもそも、なぜこのような出血があるのか、メカニズムを解説します。

着床出血は妊娠初期症状のひとつ

着床出血が起こりやすい時期(妊娠週数)カレンダー

まず、生理との違いを知るために、生理のメカニズムをおさらいしましょう。

女性の体は妊娠に備え、約1カ月に1回排卵し、子宮内膜を厚くします。妊娠が起こらないと、この内膜が血液と一緒にはがれおちます。これが生理です。28日の生理周期では、生理開始日から14日目ごろに排卵が起こります。妊娠が成立しなければ、その2週間後に次の生理が始まります。

一方、卵子と精子が出合ってできた受精卵が子宮内膜に到達し、着床すると妊娠が成立します。
着床時、子宮内膜は受精卵を受け入れるために血管が増え、新たな組織にダイナミックに変化していきます。そこに受精卵が潜り込んでいくため多少の出血が起こることがあります。これが着床出血です。

着床すると排卵・受精から1週間~2週間後までの間に着床出血が起こる可能性があります。

着床出血は妊娠が成立していることを示すものですが、だれにでもあるわけではなく、また同じ人でも妊娠ごとにあったりなかったりする場合もあります。着床出血が起こりやすい人というものもなく、偶然起こるものです。

着床出血がなくても妊娠の可能性を示す症状

着床が完了して妊娠が成立すると、hCG、プロゲステロン、エストロゲンといったホルモンが多く分泌されるようになり、ホルモンバランスが変化します。

これによって、風邪のような寒けやだるさを感じたり、眠けや下痢、頭痛、胸の張りなどの症状が現れることがあります。

着床出血以外に、妊娠の可能性を示す症状には次のようなものがあります。

・腹痛
・腰痛
・便秘
・下痢
・胸やけや胃の不快感
・眠けやだるさ
・熱っぽい、風邪のような症状
・胸のはり

とはいえ、こうした妊娠の可能性を示す症状は個人差が大きく、症状の有無や程度はさまざまです。また、生理前に起こる症状ともよく似ていることから、これらの症状だけで妊娠の可能性は判断できないことを知っておきましょう。

着床出血が見られたら、すぐに気をつけたい4つのこと

着床完了後、女性の体のなかではさまざまな変化が起こり、受精卵は胎児へと成長するため、驚くようなスピードで体の基本となる器官が形成されていきます。

妊娠が判明していなくても、妊娠を望んでいたり、着床出血と思われる出血が見られ、妊娠の可能性があったりする場合は、なるべく体をいたわり、胎児に影響を与えると考えられることに注意しておくことが賢明です。

喫煙

たばこを吸うと、ニコチンの影響で血管の収縮が起こり、胎児に十分な酸素や栄養が届かなくなってしまいます。妊娠中の喫煙は胎児の発育や胎盤の機能に悪影響を及ぼし、流・早産や低体重児のリスクが上がることもわかっています。妊娠している女性自身の喫煙だけでなく、まわりの人が吸ったたばこの煙を吸う受動喫煙も悪影響があります。家族で禁煙について考えてみましょう。

薬の服用

薬の服用にとくに注意が必要な時期は、妊娠4~9週ごろで着床出血が起こる時期とは重ならないので、妊娠4週までに飲んだ薬の影響はまず心配いりません。ただ着床出血と思われる出血が見られ、妊娠の可能性がある場合、薬の服用に注意を払っておくと、のちの不安につながることは少なくなります。
薬を服用するときは薬剤師に相談し、市販薬をむやみに服用したり、用量用法を超えて服用することはやめましょう。

感染症

妊娠中は胎児への影響が心配される感染症がいくつかあり、とくに妊娠初期に気をつけたいものもあります。外出時はマスクをして、外出から戻ったら手洗いをするといった感染症対策をしておくと安心です。

アルコールやカフェイン

アルコールやカフェインは長期にわたり、多量に摂取するとおなかの赤ちゃんに影響を及ぼすことがわかっています。この程度なら大丈夫、ということははっきりとしていません。妊娠判明前の摂取で、すぐに影響を及ぼすことはほぼありませんが、ノンアルコールやノンカフェイン飲料に変えることでリスクを減らすことができます。

適切な時期に妊娠検査薬で検査を

着床出血と考えられる出血があったら、すぐに妊娠検査薬を試したい、という人もいるかもしれません。しかし、適切な時期に検査しないと正しい結果が出ません。
通常、妊娠検査薬は次の生理予定日の約1週間後から使用します。着床出血が起こっても、生理予定日から1週間たったころまで待ってから妊娠検査薬で検査するようにしましょう。

検査の結果が陽性だった場合は、受診して早い時期に正常妊娠かどうかを確認してもらいましょう。

いつもの生理とは違うかも?という出血は医師に相談を

妊娠の可能性が考えられるものの、妊娠検査薬を試す前に、いつもの生理とは違う出血量だったり、長く続いたり、強い痛みがあったりする不正出血が見られた場合は産婦人科を受診してください。
検査薬を試したあとも、結果に関わらず不正出血があったら、なんらかの病気の兆候である可能性もあるので、早めに産婦人科で診察を受けましょう。

専門医が回答!着床出血のギモンQ&A

Q. 着床出血のあとに着床しないこともありますか?

A. 着床出血のあと着床しないことはありません

着床出血は着床しているときに起こります。ですので、着床出血のあと着床しないことはありません。ただ、着床出血のあとに妊娠が継続するかは、その後の様子を見守るしかありません。

Q. 性行為3週間後に着床出血はありえますか?

A. 妊娠による何らかの出血の可能性があります

生理が28日周期で妊娠が成立している場合、性行為の3週間後というのは妊娠5週にあたります。その時期に出血することもありますが、着床出血ではなく妊娠による何らかの出血の可能性があります。妊娠が判明しているかどうかに関わらず、産婦人科を受診して調べてもらいましょう。

Q. 着床出血があった当日に妊娠検査薬を使用しても意味はないでしょうか。

A. フライング検査はおすすめしません。

本当は妊娠しているのに、検査の時期が早く陰性になる可能性があるため、おすすめしません。検査薬の適正使用時期に従って検査しましょう。

Q. 生理予定日をちょっと過ぎてから出血がありました。これって単なる生理不順?それとも着床出血?

A. どちらの可能性もありえます

生理予定日を1~2日過ぎた程度の出血であれば、どちらの可能性もありえます。その後も出血が続いたり、量が増えたりする場合は、着床出血ではなく生理が遅れたと考えられます。

Q. 生理予定日にいつもの生理の始まりとは違う出血があります。着床出血ですか?

A. 着床出血の可能性はあります

通常の生理の始まりと明らかに違う場合は、着床出血の可能性はあります。しかし、それだけでは判断するのは難しいので、出血が続くか、量が増えるかなど数日様子を見る必要があるでしょう。

監修/山下隆博先生 取材・文/茂木奈穂子、たまひよONLINE編集部 マンガ/上田惣子 図版デザイン/はしもときみえ

【先輩ママのリアルボイス】 「着床出血」に関する体験談

妊娠・出産経験のあるたまひよアプリユーザーに「着床出血の経験はある?症状を教えて」とアンケートを実施。どんな症状だったかを紹介します。

着床出血が1日(1回)あった

おりものシートに少量の鮮血がついて、生理の始まりだと思いました。しかしその一回だけで以降はさっぱり血が出てこず、そこから数日経って妊娠検査薬を試したらまさかの陽性でした。(まき さん)
出血量はごく少量で薄茶色でした。生理の始まりなのかと不安もありましたが、普段とは経血量と色が違ったのでとりあえず1週間様子見して検査薬を使用したら陽性でした。(カナトモ さん)
サラサラの赤が鮮やかな血が、少量1日だけ出ました。生理が始まったのだと思いましたが、以降全く血は出ず。生理が来ないのでこれはまさか!と思ったら妊娠していました!(うさぎ さん)
生理の終わりがけのような出血で薄い茶色。1日というか1回だけでした。生理もそんな感じで始まることも多いので生理だと思っていたらそこから全く出血がないためおかしいなと思って妊娠検査薬を試したら陽性でした!(せいちゃん さん)

着床出血が2日~数日続いたという方も。

生理予定日に薄い赤いおりもの、翌日は薄い茶色いおりものが出て、生理が始まる前のおりものにとても似ていました。ただ決定的に違ったのは、生理のときは鮮血になるのに、今回は普通のおりものにもどったことでした。(にょんり さん)
生理初日くらいの赤黒い出血が数日続いた。(ちび さん)
出血が薄い茶色だったり、ピンクっぽかったりして、生理がきたと思ったけど、それが数日続いて生理が始まらなかったので、妊娠検査薬を試したら陽性でした。(misa さん)

着床出血かどうかわからなかった、なかった

いつもの生理より量は少なめだったかなと思いますが、全然区別つかないです。体調も特に変わらずでした。(ぱちゃん さん)
着床出血が妊娠のサインになると思っていたが、私の場合は全くなく、不妊治療専門の先生のアドバイスどおりの日に、妊娠検査薬をしたら陽性だった。着床出血が必ずサインになるのではないんだなと経験を通して思った。(もちもちおもち さん)

※体験談コメントはアプリ「まいにちのたまひよ」内、同じ出産月のママ・妊婦さん・パパ同士で情報交換できるコーナー(ルーム)に寄せられた投稿を再編集したものです。

妊娠を望んでいる人にとって、着床出血はひとつのサイン。「生理ではなさそうだな」と思ったら、適正な時期に妊娠検査薬をためし、陽性が出たら産婦人科を受診しましょう。

●記事の内容は2024年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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