笑いを取ったスピーチの手応えも 天皇陛下が取材に応じ雅子さまとのイギリス訪問を振り返られる 感謝と喜び語った10分間【全文】

国賓としてイギリスを訪問している天皇陛下は日本時間28日未明、カメラの前で報道陣の取材に応じられた。晩さん会など国賓としての公式日程を終え、皇后・雅子さまと共に思い出の地に立つ喜びや、温かく迎えてくれたイギリスへの感謝を述べられた。

イギリス訪問を振り返って

――さきほどイギリスでの公式日程が終わりました。久しぶりのイギリスご滞在はいかがでしたでしょうか?

このたびイギリス政府からご招待をいただき、雅子とともにイギリスを国賓として訪問することが出来ましたことを大変嬉しく思っております。

チャールズ国王陛下、そしてカミラ王妃陛下には、歓迎式典、そしてまた馬車によるパレード、そしてバッキンガム宮殿における午餐会、夕食会を催していただき、大変心温まるひとときを過ごさせていただいたことを大変ありがたく思っております。

また、そのほか、ロンドンのロード・メイヤー、そしてまたシティ・オブ・ロンドンの主催による晩餐会にお招きいただいたり、それから日英友好団体主催のレセプションにお招きいただき、本当に多くの方々から本当に温かい言葉をかけていただき、非常におもてなしをいただいたことを大変嬉しく思っております。

また、今回は馬車でのパレードの時もそうでしたし、また、車で走っているときにも多くの、沿道から多くの方に手を振っていただいたりして、非常に温かく迎えていただいていることを大変嬉しく思っております。

ここのキュー・ガーデンは23年ぶりの訪問ということになりますけれども、きょう色々と見せていただいて、ミレニアム・シード・バンクの取り組みが進んできて、それが生物多様性の保全に貢献しているということを伺って、大変嬉しく思いましたし、また色々貴重な植物を見せていただいたことも大変嬉しく思っています。

また視察先としては今回フランシス・クリック研究所にも訪れましたけれども、そこでは本当に最先端のがんの治療ですとか、それからインフルエンザの対策ですとか、そういった最先端の研究が、今回、日本の研究者など日英の研究者両方で進められていて、非常に最先端の技術というものも感じましたし、イギリスは本当にこの古いものを大切にしながら、そしてまた一方で非常に新しいものも生み出している、そういうところもまた非常に興味深く思いました。

また、あわせてそのようにイギリスが世界に門戸を開いて、そして多くの研究者を招いて、そして研究が進められているということも知り、大変これも嬉しいことだと思いました。

そのほかのこととしましては、テムズバリア。私は留学の時、テムズの研究を、18世紀のテムズ川の水運を研究していましたけれども、私がいた頃、ほぼ同じ頃にできあがったテムズバリアを今回見ることが出来たことは、とても良かったと思います。

やはり地球温暖化の問題などもあって、高潮の問題なども、今後ますます色々出てくると思いますけれども、その対策として、テムズバリアの果たす役割というものも非常に大きいものがあると思いますし、私も個人的に水問題というか、水災害に関する研究というか取り組みをしているので、今回のテムズバリアの視察というのは、大変いろんな面で参考になったように思います。

連日晴れ続きのお天気

――とてもお天気が続いていまして、陛下がお天気と夏を連れてきてくれたんじゃないかといろんなところで耳にしたのですが、お天気についてはいかがですか?

どこかで雨に降られると思っていたのですけれども、また、留学中にもやはりイギリスの天気は非常に変わりやすいというふうな印象をもっていましたので、どこかでは雨にもあうかなと思っていましたが、今回毎日良い天気に恵まれて、本当にこれもありがたいと思っていますし、それからまた、特に陽が差している関係もあるのか、いろいろ花とか木とか、そういったものや、草原なども非常にきれいで、またひとつそういったことも思い出作りになったのではないかなというふうに思っています。

エリザベス女王の思い出

――先ほどはエリザベス女王とフィリップ殿下のお墓にお参りをなさったと思います。どんなお気持ちでお墓にいらっしゃいましたでしょうか?

本来であれば4年前にエリザベス女王陛下からのご招待でもって、イギリスに来る予定になっていましたけれども、新型コロナウイルス感染症の拡大の関係でもってその時は伺えないことになってしまったこと、これは本当に残念に思っております。

エリザベス女王陛下には、来日されたときにも、私はまだ小さかったですけれども、お会いしましたし、それ以降特に留学している間は、バッキンガム宮殿にお茶に呼んでいただいたり、それからスコットランドのバルモラル城にご招待いただいたり、あるいはガーデンパーティにご招待いただいたり、その都度本当にいつも良くしていただいたことを、これはエディンバラ公もそうでしたけれども、大変心から感謝しておりますし、今回はエリザベス女王陛下、それからエディンバラ公フィリップ殿下にいままでの色々お世話になったこと、本当に良くしていただいたことに対する心からのお礼の気持ちで、きょうは参拝をさせていただきました。

笑いを取られたスピーチ

――チャールズ国王の横でスピーチをした時に「ドクター・フー」のことで会場を沸かせていましたけれども、あの荘厳な雰囲気の中で、どういう気持ちで演説されていましたか?

皆さん笑っていただいたのは、嬉しかったですね。

――陛下でも緊張されることがあるのかなと思ったのですが

いや(笑)しかし何か今回も感じましたけれども、非常に温かい雰囲気の中で、晩餐会、バッキンガム宮殿もそうでしたし、ギルドホールもそうでしたし、温かい雰囲気の中で、スピーチをすることが出来て、本当に比較的リラックスしながらお話をすることができましたし、みなさんがこちらの方をよく聞いて下さっているということが分かって、これは話している私としても、大変嬉しく思いました。それからチャールズ国王陛下も心温まる大変素晴らしいスピーチをして頂いて、本当にこのことに対しても心から感謝しております。

2人のご訪問「本当に大変幸せなこと」

――「おかえりなさい」と(国王が)おっしゃったことについてはどうですか

そうですね、本当に今回まずロンドンに来まして、そしてロンドンの、歴史あるロンドンの、建物の荘重な佇まい、それからテムズ川、そういったものを眺めながら、やっぱり思い出の地に戻って来たという印象を強く持ちましたし、そのような中で、本当に「おかえりなさい」というふうにいっていただいた。

「Welcome back」というようなことを多くの方から言っていただいた。本当に私は嬉しかったですし、その思い出の地に今回、雅子にとってもこのイギリスは思い出の地ですので、2人で立つことができた。これは、本当に大変幸せなことだ、と思っております。

王室の方について言えば、今回は、ウィリアム皇太子殿下、エディンバラ公ご夫妻、それからグロスター公ご夫妻、それからケント公。以前からいろいろ存じ上げていた皆さんと、またこの機会に、それこそ旧交を温めることが出来たことを、大変嬉しく思っております。

いずれにしても、イギリスで本当に多くの方々から、温かく迎えていただいたことを大変嬉しく思っておりますし、又今回の私たち2人の国賓としての訪問が、今後の日本、イギリス両国の友好親善に貢献することを心から願っております。

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