ウインブルドンの『オールホワイトルール』は生理中の女子選手にとって重圧!かつてのファイナリストが主催者に問題提起<SMASH>

来週月曜日、いよいよ今年3つ目のテニス四大大会「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝コート)が開幕する。

四大大会のなかでも最も長い歴史を誇る「ウインブルドン」といえば、練習や試合を行なう際に必ず“白色のウェア”を着用しなければならないという独特な決まりでもお馴染みだ。実は、この厳格な『オールホワイトルール』は、一部が昨年緩和されたばかり。だが、2014年のファイナリストで、元世界5位のユージェニー・ブシャール(カナダ/現522位)は、改正が不十分だと声を上げている。

昨年変更されたのは、女子選手のウェア規定だ。

「女子選手はショーツまたはスカートより長くないことを条件に、無地の中間色または濃色のアンダーショーツを着用することができる」と改められた。この新規定は以前から大きかった女子選手からの要望に応え、生理中の経血漏れなどによる精神的なストレスの軽減を目的に採用。変化に消極的だった主催者、AELTC(オールイングランド・ローンテニス&クローケークラブ)がようやく動いた。

もちろん、これは多くの女子選手から歓迎され、ブシャールもその効果を認める。だが、30歳のカナダ人は、そもそも生理中のプレーはそれだけで非常に困難であり、残存する『オールホワイトルール』は、それをさらに難しくすると言う。

生理中に真っ白なウェアを着ると、心のどこかで「服に何かいたらどうしよう」と心配してしまい、完全にテニスに集中することができないのだと主張する。ブシャールはカナダ在住のSNSインフルエンサー、バレリア・リポベツキーのポッドキャスト『Not Alone』に出演し、次のように述べている。
「残念ながら、私たちは自分で試合の予定を組むことはできません。大会側がスケジュールを決め、いつプレーするか指定されます。こちらの希望を伝える余地はないの。私も本当にひどい生理痛や痛みを経験したことがあるし、全米オープンの前日もそうだったわ。

これは女子選手にとってはどうしようもないこと。スケジュールはコントロールできないから、運としか言いようがないの。

ウインブルドンでは白いウェアを着なければならないから、女子選手の中には心配になる子がいると思う。(大会中に)そうなったら気になってしまうでしょう」

ブシャール自身がブレークした大会でもあるウインブルドンへの問題提起は、多くの女子選手の切実な思いを代弁したものだろう。果たして伝統を重んじるAELTCは、さらなるルール緩和を行なうのだろうか…。

構成●スマッシュ編集部

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