【特集】新潟市の老舗書店-時代に合わせた医学書専門化で113年の歴史を継ぐ【この町で~愛される老舗~|新潟】

考古堂書店3代目 柳本雄司会長

年々、地域の書店が減る中、ある専門店となることで時代を乗り越えてきた新潟市古町にある明治時代から続く書店を訪ねました。

■富山詠美アナウンサー
「今回紹介するのは、100年以上続く書店です。ずらーっと本が並んでいますが、実は普通の書店とはちょっと違うんです。少し難しい言葉が並んでいますよね。実はここ、医学書専門の書店なんです。」

白山神社の近く、上古町商店街にある考古堂書店。創業113年になります。
■富山詠美アナウンサー
「もう見渡す限り、この本全部医学書なんですもんね」

■考古堂書店3代目 柳本雄司会長
「放射線・消化器・内科というようにタイトルがついている。医学書をこれだけ揃えている専門店は、県下にも本当にないですね。」

一部の自社出版物を除き、すべて医学書。2万点にものぼります。創業は1911年。元々は古本と新刊を扱う一般的な書店でした。
■考古堂書店3代目 柳本雄司会長
「第2次世界大戦のころは本がなくてね、売ってしまうと本が続かないもんだから。本買いに来るときは、自分の手持ちの売ってもいい本を持って来た人に売るということで、そうでないと棚の本がなくなるということでね、そんな時代もあったんです。」

柳本会長は、25歳で3代目として店を継ぎました。しかしその後、1974年に書店存続の危機ともいえる出来事がありました。紀伊国屋書店の出店です。
■考古堂書店3代目 柳本雄司会長
「新潟の本屋さんにとっては”黒船が来た”ということで、新潟市の本屋さん全体を集めても1000坪ぐらいしかなかったのに、1店で300坪の紀伊国屋さんが来られるということでね。いっそ一般の書籍はやめて、医学専門書と自社出版の出版物とに特化したんですね。」

近くに新潟大学医学部があったことから、かねてから医学書に力を入れていました。そこで「医学書」の専門店に特化することを決断しました。
■考古堂書店3代目 柳本雄司会長
「やっぱり日曜とかになると、遠くの方から車に乗って、あるいは汽車に乗って、専門書を探しにお医者さんが来られるという感じですね。日曜日が1番やっぱり忙しかったですね。」

売り上げの多くは、外商が占めています。4代目・和貴さんの仕事です。
■新潟医療福祉大学図書館職員
「参考として書籍を持ってきていただき、その中から学科の方で選んでいただいたり、教員の方が欲しい本を選んでいただいて、専門的な本が多くてとても助かっています。」

新潟医療福祉大学とは開学以来の付き合いです。大学や専門学校、さらに県内外の病院や開業医などに販売しています。
■考古堂書店4代目 柳本和貴社長
「専門書になると、なかなか一般の書店さんでは新刊本っていうのがないんですね。情報がどんどん新しくなっていくのが医学・看護の分野の特殊なところだと思いますので、ネットにある情報っていうのは早いし、いろんな情報が上がっていますが、やっぱり本の信頼性、情報の信頼性という意味では、これからもやっぱりこういう形が残っていくのかなというふうには考えています。」

今も家庭で使える知識を求めて、店を訪れる人も。
■お店に買い物に来たお客さん
「頭痛がひどいので、いい本がないかと思って探しに来ました。」
「前からこの辺りに住んでまして、書籍が好きなものですから、治るのものであれば自分で直せればと思いまして。」

一方、店に足を運ぶ人は時代とともに減っていて、医学書の販売方法も多様化してきているといいます。
■考古堂書店4代目 柳本和貴社長
「最近はお届けするものが同じ情報でも、それが形のない電子的なもの、オンラインで電子書籍だったり、オンラインで雑誌なんかも見られるような時代になってきてますので。」

ネット販売など、デジタルサービスも充実。時代の変化に対応しこれからも、考古堂の歴史を繋いでいきます。
■考古堂書店3代目 柳本雄司会長
「やはりいつでも手軽に見られる本の特徴というのは、いつの時代になってもなくなることはないわけで。またネット時代にふさわしい電子書籍とか、ネットでの配信とか、そういうこともやはり取り入れて、必要とする方に必要な本をお届けするということをモットーにやっていきたいと思いますね。」

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