中国貴州省の山奥に住むベルギー人青年 農場での生活を発信

中国貴州省の山奥に住むベルギー人青年 農場での生活を発信

ケビン・シレン・マイケル・Eさん(後列左端)と家族。(貴陽=新華社配信)

 【新華社貴陽6月28日】中国貴州省黔南(けんなん)プイ族ミャオ族自治州独山県下司鎮下司村の山奥にベルギーの青年、ケビン・シレン・マイケル・Eさん(28)一家が作ったユニークな生態農場がある。

 ケビンさんの母親、ヘティ・シレン・ボットセフトさんは2000年、姉に連れられてボランティア活動のため初めて中国を訪れ、貴州の美しい景色と人々の素朴な暮らしに深く魅了された。その後、ヘティさんは中国に定住することを決意、夫のパトリック・ヤン・シレンさんと息子たちも同省へやって来た。17年にケビンさん一家は独山県下司鎮で山林を借り受け、生態農場の設立を模索し始めた。

 一家は荒れ地の開墾から始め、土地の整地や牧草栽培、飼育用の子羊やひよこの購入など一つ一つ農場の形を作り上げてきた。

中国貴州省の山奥に住むベルギー人青年 農場での生活を発信

22日、ヤギに餌をやるケビン・シレン・マイケル・Eさん。(貴陽=新華社配信)

 地元の村民たちにとって、ケビンさん一家はすでに外国人から村人へと変わっており、新年や祝日、家族の集まりの時には一家を招待して一緒に過ごす。

 農場の規模と畜産物の種類も年々拡大した。現在、一家の農場にはヤギ、ニワトリ、ウサギ、アヒルなど数百匹(羽)の家畜・家禽(かきん)が飼育されており、朝夕のエサやりと世話が一家の日常となっている。

 パトリックさんは農場を設立した動機について、「生態環境に配慮した循環型農業で健康な動物を飼育し、安全な肉製品を消費者に提供するために貴州省に農場を開きたかった」と語った。

中国貴州省の山奥に住むベルギー人青年 農場での生活を発信

22日、ヤギの世話をするケビン・シレン・マイケル・Eさんの父、パトリック・ヤン・シレンさん。(貴陽=新華社配信)

 生活の中で中国の大きな変化を目の当たりにしてきたケビンさんは、「村の様相はすっかり新しくなり、静かな田舎の生活を楽しむためにますます多くの人が村に戻り始めた」と指摘。農村への注目が高まる中、ケビンさんは「新農人(専門的な知識に富み、農業技術をよく理解し、経営管理を得意とする新しいタイプの農業従事者)」としてインターネットがもたらすチャンスを捉え、ニューメディアを使って農場の知名度を高めている。

 ケビンさんは農場の仕事に加え、セルフメディアを運営する邱野(きゅう・や)さんと協力し、複数のプラットフォームに「貴州のケビン一家」というソーシャルメディア(SNS)のアカウントを開設、農場生活のあれこれを記録・共有している。農場の日常生活や中国の農村の美しい自然など、リアルで地に足の着いたコンテンツは瞬く間に多くのファンの注目を集め、現在ではアカウントのフォロワー数は合計70万人を超えている。

 ケビンさんは「中国での経験を皆さんと共有できることはとてもうれしい。私たちの姿を通じてより多くの人が中国と中国の農業を理解することを願っている」という。中国での生活がすでに20年余りとなった一家は、すでに貴州省こそがわが家だと考えている。(記者/周宣妮)

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