【広島】1日の練習わずか2時間でも春の県大会準優勝 創部70年で大躍進「海田高校」 勝てるチームとなった “強さの要因”は 夏の高校野球広島県大会注目校

甲子園を目指す夏の高校野球広島大会、注目のチームを紹介しているシリーズ、「変わる夏、変わらない夢」。きょうは創部70年目で大躍進した、海田高校野球部を紹介します。

初の中国大会出場 創部70年で飛躍を遂げる「海田高校野球部」

専用のグラウンドは無く、1日の練習時間はわずか2時間。多くの制約の中で飛躍を遂げる、「海田高校野球部」。

節目の創部70年目を迎える今年、チームは春の県大会準優勝、そして初の中国大会出場を果たしました。母校で指導する平崎直樹監督。現役時代、最後の夏は初戦敗退でした。

就任4年目でのチームの飛躍。指揮官はどのようにして、勝てるチームを作り上げたのでしょうか?

平崎監督
「エースの松本を中心に守備をしっかり作ってきたつもり。本当に失点少なく春を戦うことができた。」

絶対的エースとキャプテン 二人三脚のバッテリーで守り勝つ

海田高校の絶対的エース松本遼太選手。最速145キロ、「困ったときに押せるまっすぐ」が最大の武器だと語ります。

しかし松本選手はさらなる進化を遂げるため、限られた練習時間の中で、球速だけでなく、コントロールも優れたピッチャ-へ、生まれ変わろうとしています。

松本選手
「秋と比べると、ストレートも変化球もコースに決められるようになってきた。今までは球速ばかり追い求めてきたが、冬練でコントロールを意識しようと思って、体感トレーニングを頑張った。」

そんな松本選手とバッテリーを組むのが、キャプテン・内谷治起選手です。

誰よりも大きな声でナインを鼓舞するキャプテンは、エースが最も信頼するチームの扇の要です。

内谷選手
「(松本投手は)うちの絶対的なエースなんで、信頼してますし、何かあったら自分が声をかけて、支えてやれるように頑張ります。」

松本選手
「自分が結構あれた球を投げてそらしたりするのに、『自分が悪い』とひたすら止める練習をしているのがすごい、ありがたいなと思う。悪い時には悪い所を言ってくれて、良い時にはほめてくれる良いキャッチャーです。」

正捕手としてエースを支えるだけが、内谷選手の仕事ではありません。

取材当日の練習はわずか1時間。1秒も無駄にできない中で、練習メニューを考えるのもキャプテンの仕事です。

平﨑監督
「グラウンドに出たら基本的にはキャプテンが動かしていく。練習も基本的にはキャプテンが考えて、それを見ながらアドバイスをして、全選手にわたっていって、練習をしている。」

“メジャー流” 2番打者には強打者 柔軟な起用と采配で頂点目指す

打撃練習でも短時間でどんどんバッターが入れ替わります。その中でもひときわ快音を響かせていたのが、3年生・吉田淳之助選手。夏の県大会では2年連続でホームランを放っているチーム屈指の長距離砲です。

吉田選手
「今年も絶対打って3年連続ホームランを達成したいと、この1年間思い続けてきた。絶対達成したい。」

中国大会での吉田選手は全試合、2番打者として出場。平崎監督は「2番は強打者」というメジャー流の起用を取り入れるなど、制約の多い環境で勝つために、采配にも工夫を重ねます。

平﨑監督
「(吉田の2番起用について)吉田は長打力もあり、足も速い。だからバントをせずに攻撃ができるかと。成功したかどうかはわからない。

吉田選手
「(2番起用については)1番1番3番というつもりで行けと言われた。実際にバントのサインも一度も出なかった。いつも通り自分の持っているものをしっかり発揮しようと思った。」

平崎監督
「また夏は新しい打順を考えながらやっていきたい。調子の良しあしや相性も見ながら、そのあたりを見ながら起用は変わってくるかもしれない。」

平崎監督の柔軟な起用と采配の中で、選手たちは自分の野球を磨き続けます。

まだ見ぬ夢の舞台、甲子園初出場を目指す海田高校。

第一シードで迎える夏の県大会初戦は、7月12日、尾道北高校と庄原格致高校の勝者と戦います。

内谷選手
「対戦相手にかかわらず、自分たちの野球をすることが大事。試合本番でも自分たちの持ち味を出したい。」

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