「逆境を力に変えて」アーティスト・Awichが若者へメッセージ 「 “つらい思い” は人には持てない財産」異文化体験プロジェクト立ち上げ

世界で活躍するアーティスト・Awichさんが若者たちのために無償で参加できる異文化交流プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトに込めた思いとは-

Awichさん
「奇跡を起こす人って奇跡を受け入れる力があるんだよ。ちょっとしたことで『あ、これ人生変わるかも』みたいなって思える…」

那覇市出身のHIPHOPアーティスト・Awichさん。

彼女の言葉を聞きに集まった450人を前にした講演会で、自身の経験を元に「逆境を力に変える秘訣」について語りました。

本格的に世界進出をはかるAwichさん。英語・日本語・ウチナーグチの言語を巧みに織り交ぜた楽曲と力強い歌詞が多くの人を引き付けています。

Awichさん
「自分がその環境でつらいと思っているんだったら、それは人には持てない財産だと思ってほしい。人はその経験できてないから。その経験があなたのストーリーであなたの財産になっていく、それが逆境を自分の力に変えるということです」

故郷・沖縄が抱える問題にも関心を寄せるAwichさんが、今回あるプロジェクトを立ち上げました。「まちなか留学」を無償で提供する「Know the world Awich グローバルプロジェクト]です。

「まちなか留学」は、経済的に生活が厳しい世帯に異文化交流を体験してもらおうと、県内に住む外国人の家で1泊2日のホームステイを無償で提供します。

対象は、高校1年生から22歳で、選考を通過した100人が参加します。

4人に1人が貧困といわれる沖縄の子どもたちを取り巻く環境を変えていきたいという思いからでした。

Awichさん
「沖縄っていう場所が抱えている問題を見返したときに、貧困の問題とか子どもを取り巻く環境の悪さとか、課題があると思うんですけど、機会がない若者たちにも世界を学ぶきっかけになってほしいと思って発足したプログラムです」

この日、まちなか留学に参加したのは、世界で活躍するシェフを目指す宮城夕奈さん。スポーツ選手などの指導を行う、アスレティックトレーナーを目指す當間麗さん。

受け入れたのは、沖縄に移住して10年。カナダとオランダ出身のグリーブさんご夫婦です。まちなか留学では、ホストの出身地域の料理や言葉、文化などを学びます。

家庭では、リンゴや玉ねぎ、ピクルスなどを混ぜたマッシュポテトのようなオランダの料理「ヒュッツポット」を一緒に作りながらコミュニケーションをとります。

宮城夕奈さん
「世界を目標にした人たちとか同じ土俵に立っている人たちと今後一緒に進めるきっかけがあるとしたら、このシステムはとてもいいと思います」

材料を切って茹で、ボウルの中でつぶしたポテトと合わせれば完成です。

さてお味は…

宮城夕奈さん
「うんめえ~」

4年前からまちなか留学の受け入れを始めたというグリーブさんご夫婦。様々な体験を通して文化を学ぼうとする学生の姿勢に心を打たれたといいます。

ポール・グリーブさん
「沖縄の人たちがよくしてくれるから私たちも沖縄のためになること、還元したいと思って参加を決めた」

Awichさん
「明確な言葉になっていく、明確な課題になっていく、そこに解決方法を探せばいいだけだから、そういうステップを踏める若者が増えたらいいなと思います」

1泊2日、県内の外国人の家にホームステイする「まちなか留学」は、参加者にとって異文化を体験する貴重な機会となったようです。

宮城夕奈さん
「わからなくても恥ずかしがらずチャレンジっていうのがあったので、それが成長できたんだなと思って、自分の中で自信にあふれています」

當間麗さん
「英語ができなくても表情とかジェスチャーとか、わかる単語を組み合わせてやったらなんとなく伝わるということが分かったので、わかる単語をもっと増やしていけたらいいなと思いました」

沖縄で海外に触れ、さらにその先の目標へ。Awichさんは、羽ばたく沖縄の若者の背中を押そうとしています。

Awichさん
「世界を知ることで自分のことを顧みることができる。自分の環境の中にいいものがあることに気づくことができる。そうやって自分のビジョンを一つ一つ組み立てていく、それを一番伝えたかったです」
「ピース!Awichです。know the world 逆境を自分の力に変えていきましょう。沖縄の若者たちへ、『レッツゴー!』」

8月には、まちなか留学で選ばれた3人がアメリカ・アトランタに10日間、無償で派遣されるということです。

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