【阪神】岡田監督が描く〝打倒・新井カープ〟の筋書き「最後にウチが一番上にいればええんやから」

室内練習場で漆原大晟(右)らの調整を見守った阪神・岡田監督

阪神は28日のヤクルト戦(神宮)が降雨のため中止となった。懸案だった打線の状態が上向きつつある中での〝水入り〟に、岡田彰布監督(66)も「まあ、しゃあないやろ。天気に逆らったらアカンわ」と苦笑い。7月下旬まで長引くことが予想される今年の梅雨は、ペナントレースにどのような影響を与えるのか。「4手、5手先までを見通す」と評される虎の知将を直撃すると――。その胸の内ではセ首位を走る広島に〝不気味なシナリオ〟を描き、ソロバンをはじいていた。

この日の東京は午前中から激しい雨が降り続けるあいにくの悪天候。夜遅くまで天候回復の見込みが立たない予報も出ていたが、試合中止が発表されたのは午後4時25分。最終的な判断が下されるまで少々時間がかかっていた。

「こんなひどい雨で試合できるわけないやろ。中止の発表が遅すぎるで」。神宮球場室内練習場横に設置された喫煙所。岡田監督は紫煙をくゆらせながら、気まぐれな6月の空を見上げるしかなかった。「こんな大雨やったら宿舎帰って外へメシ食いに出るのも面倒や。でも、どうせ〇〇はまたパチンコ行くんやろ(笑い)。駅前のな」と隣にいたタバコ仲間の某選手をイジりつつ「東京ドームは試合できるんやろ? 今日は戸郷と床田やからええ試合になるで。テレビで見とくわ」と同日夜に行われた巨人―広島戦(東京ドーム)の敵情視察に専念する考えを明かした。

28日現在でセ2位のチームは首位・広島と3ゲーム差。6月の今はまだ星勘定などをする時期ではないが、それでも強力な投手力を武器にリーグトップを快走する新井鯉が「目の上のたんこぶ」になりつつある。「ヤクルトもなあ。広島に3連敗されよって…。なんであんな球の捕り方するんやろ」。

前夜27日の広島―ヤクルト戦(マツダスタジアム)では、最終9回にヤクルトの左翼手・山崎が後方への飛球を捕り損ねサヨナラ負け。この一幕を振り返る虎将の表情からも、ちょっとした〝本音〟がにじみ出てくる。

阪神も広島も本拠地とする球場は、ともに屋外。雨である程度の試合が流れることは織り込み済みだが、この日の時点で阪神が71試合を消化できているのに対し、広島のそれはセで最も少ない68。今年の梅雨は7月下旬まで長引くことが予想されているだけに、今後も予断を許さない。

岡田監督は雨雲を見つめながら「広島は9月になったら大変なことになるかも分からんで。日程的にのう」とニヤリ。阪神と同様に投手力を売りとする広島は、シーズン最終盤の過密日程を乗り切ることができるのか。

長丁場のシーズンを知り尽くす百戦錬磨の老将は143手で新井鯉を〝詰み〟に追い込む方策を脳内で綿密にシミュレートしているのかもしれない。

開幕前から「今年は混戦になると思っているからな。去年のように何もかもが、うまく運ぶことはありえへんよ。最後の最後にウチが一番上にいればええんやから」と〝予言〟していた岡田監督だが、現在のセはまさにその通りの展開となっている。有終の秋に歓喜の美酒を浴びるチームは岡田虎か新井鯉か。それとも――。

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