政治資金報告書の訂正 「要否含め精査必要」大石知事 月内見送り 長崎

記者団の囲み取材に応じる大石知事=県庁

 大石賢吾知事が自身の後援会の2022年政治資金収支報告書に誤解を与えかねない記載があったとして、6月中に行うとしていた報告書の訂正について、知事は28日、月内の訂正を見送ったことを明らかにした。24日の県議会で、自主的な外部監査で指摘を受けたとして訂正する考えを示していたが、この監査を巡って不明な点が出てきたとし「訂正の要否も含め、十分な精査が必要」と述べた。
 28日、県庁で記者団の取材に応じ「私の承認なく、(自身の後援会から)多額の出金がなされており、監査業務を行っていた者に渡った可能性があることが発覚した」と説明した。ただ、出金時期や金額などの詳細は「しっかりと確認したい」と繰り返し、明らかにしなかった。「監査業務を行っていた者」との契約は終了したといい、今後、詐欺容疑での刑事告訴も視野に検討を進めるとした。
 知事は同日、県議会の各派代表者会議に出席。月内の訂正が間に合わないことを説明した。
 同収支報告書は、知事選があった22年2月、大石陣営の選対幹部だった自民県議の後援会から286万円の送金を受け、同年12月に利息7万3106円を加えた293万3106円を返金したと記載し、「貸し借り」の形にしている。
 これに対し、24日の県議会一般質問で「政治倫理上問題がある」と指摘を受け、知事は違法性はないとしつつも、外部監査の結果を踏まえ「寄付」の形に訂正する考えを示していた。
 監査業務を行った男性は取材に、出金は会計上の処理と説明し、「知事の発表を聞いて驚いている。知事や後援会の方と電話やメールで打ち合わせをして、最終的に知事の了承や指示の下で手続きをした」と反論。事実を確認した上で「告訴などを検討する」としている。

◎大石知事 一問一答/終始「確認したい」

 大石賢吾知事は28日、記者団の囲み取材に応じたが、終始「確認したい」などと述べるだけだった。主なやりとりは次の通り。

 -「多額の出金」とは、いくらで、誰が出金をしたのか。
 事実関係を確認したいので、現時点では回答を控えさせていただきたい。

 -「監査業務を行っていた者」とは個人か法人か。
 それもしっかり確認が必要だ。

 -大石知事が知ったのはいつなのか。
 整理できていないので、時間をいただきたい。

 -24日の県議会一般質問で答弁した時点で虚偽の支出があったことを知事は知らなかったのか。
 整理をさせてください。

 -今回の事態の受け止めは。
 ご心配をかけて申し訳ない。説明することは重要だと思っている。確認して改めて話したい。

 -たくさん「確認したい」と述べたが、確認後はどう発表するか。
 状況に応じてなので、何とも申し上げることができない。

 -詐欺容疑に当たる可能性もあるとしているが、額や誰が誰にだまされたのかさえ「確認させてください」では、県民に対して不誠実な対応ではないか。
 ご指摘は受け止めたい。

© 株式会社長崎新聞社