ORC整備士 アルコール検査せず作業へ 国交省が業務改善勧告

 国土交通省大阪航空局は28日、オリエンタルエアブリッジ(ORC、長崎県大村市)に対し、体内にアルコールが残ったまま整備士が必要な検査をせず作業に当たったなどとして、業務改善勧告と安全統括管理者への警告を出した。
 ORCによると、50代男性整備士は5月18日早朝、出勤前の自主検査でアルコールを検知したと自覚しながら、航空法で定められた勤務開始前の検査をせずに機体の点検や修復作業に当たった。約1時間後に検査したところ、呼気1リットル中に0.06ミリグラムのアルコールを検知した。
 整備士は気が動転し、作成途中の整備記録を廃棄。さらに、整備手順書が定める機能点検もしなかった。機体に異常はなかったものの、22日までの間、長崎と五島・壱岐・対馬を結ぶ計30便が不完全な整備状態のまま運航された。
 整備士は勤務前日、職場の歓送迎会に参加。午後8時半までビールや日本酒を飲んでいた。「勤務までにはアルコールが分解されるだろうと思った。早朝なので上司に連絡できなかった」という趣旨の話をしたという。降格の懲戒処分となり、整備作業から外れている。
 同局は、作業開始前のアルコール検査が不適切だったことや、適切な整備業務が行われなかったことを問題視。飲酒対策を含めた安全管理体制の抜本的な再構築など再発防止策を講じ、来月26日までに報告するよう求めている。
 ORCはアルコール検査の強化や再教育を実施。杉浦賢社長は「お客さま、関係する皆さまにご迷惑、ご心配をかけ、深くおわび申し上げる。再発防止を正しく機能させ、改めて安全運航の堅持に努める」とのコメントを出した。

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