仲野太賀は「TVドラマ界で貴重な存在」 宮藤官九郎氏が考える魅力「甘んじないのがすごい」

ドラマ『新宿野戦病院』で金もうけ主義者の美容皮膚科医・高峰享を演じる仲野太賀【写真:(C)フジテレビ】

ドラマ『新宿野戦病院』で小池栄子とW主演

俳優の小池栄子と仲野太賀がダブル主演を務めるフジテレビ系連続ドラマ『新宿野戦病院』(水曜午後10時)が7月3日からスタートする。放送を前に、本作の脚本を手掛ける宮藤官九郎氏が取材に応じ、主演2人の魅力について語った。

本作は新宿・歌舞伎町にたたずむ「聖まごころ病院」を舞台に、ホストやキャバ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民などさまざまなバックボーンを持つ“ワケあり”な登場人物たちが交錯する社会の構図をテーマに、“命”の尊さを投げかける新たな救急医療エンターテインメント。

そんな本作で主演を務める小池と仲野は、宮藤氏の希望だった。これまでも自身の作品に参加し、共演経験もある小池の魅力は「瞬発力」と「破壊力」だとして、「絶対に『できない』って言わないところがかっこいいなと、いつも思います」とその姿勢に感服しているという。

今作での小池は、アメリカ国籍の元軍医で英語と岡山弁を駆使するヨウコ・ニシ・フリーマンを演じる。個性的な役柄だけに「普通は嫌だと思うんですけど、今のところできないとは言っていない。そこがすごい」と宮藤氏は驚きを口にし、「テレビでコントをやっていたからだと思いますけど、心の底から楽しんでいる、その姿に嘘がない。笑っている姿が魅力的というのは、コメディーのヒロインとして、何よりも重要なので。今回はかなり個性的なキャラクターなので、演じるのは大変だろうなと思いながらも、すごく楽しみです」と期待を寄せる。

そして、NHKの連続テレビ小説『虎に翼』に出演し、2026年の大河ドラマでの主演も決まっている仲野に話が移ると、「僕は前から知っているからですけど、たくさんいろんな役をやって全部の役が素晴らしくて、朝ドラがあって大河ドラマの主演も決まっているから、逆にちょっと好感度下げといた方がいいんじゃないかなと思っていて、あえてすごくイヤなやつの役にしました」と笑う。

W主演を務める小池栄子(左)と仲野太賀【写真:(C)フジテレビ】

今作で仲野が演じるのは、父譲りの金もうけ主義者で叔父の「聖まごころ病院」に麻酔医の勉強で来ている美容皮膚科医・高峰享だ。宮藤氏は仲野について「イヤなやつをやるのが絶妙でうまいから。『ポルシェ乗ってるからね』と言う芝居を現場で見たときに、本当に成金のイヤなやつに見える(笑)。それがちゃんとできるのがすごいですよね」と感心したと振り返り、仲野の俳優としての魅力を次のように明かした。

「かっこよく見られようとしない、かっこつけないことが魅力ですね。連続ドラマで悪い役をやったときに、ちゃんと『憎たらしいなこいつ』と思えるところまでやってくれる人って、特に今のテレビドラマ界で貴重なんじゃないかなって思いますね」

そのうえで、自身が手掛けたドラマ『ゆとりですがなにか』でゆとりモンスター・山岸ひろむを演じた姿が特に印象的だったと語る。

「モンスターって役の名前をつけましたけど、太賀くんが演じなかったら、あの役はあんなふうになってなかったなと。1話、2話、3話ぐらいまでの山岸が本物に見えるのがすごいなと思って。しかも、そのパフォーマンスをずっと維持しているのがまたすごい。そこに甘んじないですよね、だから好きなのかもしれないですね」

主演の2人のほか、本作には橋本愛、濱田岳、柄本明ら豪華なキャストが顔をそろえる。宮藤氏は「みんなで名前を出し合って、『え、こんなそろっちゃった』と思ったくらい。ぜひ最後までみていただきたいです」と呼びかけた。猪俣創平

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