【日薬山本会長】最後の会長演述「他団体・行政・政治向きとの関わり、将来への負担を残さず、は概ね達成」

【2024.06.29配信】日本薬剤師会は6月29日に定時総会を開いた。翌日の30日に会長退任を予定している山本信夫会長が最後となる会長演述を行った。

山本信夫会長の会長演述は以下の通り。

日本薬剤師会第 104 回定時総会の開会にあたり、一言申し述べさせて頂きます。

本総会は、この執行部の最終年度に当たります令和5年度に執行した事業に要した費用に係る決算とその執行状況について評価を頂くことと併せて、3月に開催された第 103 回日本薬剤師会臨時総会においてご選任頂いた、次期正副会長予定者を含む新たな執行部の承認を頂く総会です。本年4月から新たに代議員にご就任された方々もいらっしゃると認識しておりますが、慎重な審議をお願い申し上げます。

さて、これまで何回となくこうした場に立って、総会の折に会長演述をして参りましたが、私にとっては今回が最後の会長演述となります。既に新たな執行部予定者が議案として提出されておりますので、舞台を降りる者が施政方針を述べるというのも聊か珍妙でありますが、少しばかり反省を込めて話をさせて頂く事をご容赦願いたいと思います。

平成 26 年、児玉前会長の後を受けて会長に選任を頂きました。その際に、代議員の皆様方に会長に就任出来たらこんなことがしたいと、①他団体や行政との円滑な関係の構築、②政治向きとの円滑な関係の構築、③風通しの良い会務運営、④将来に大きな負担を残さないよう努めるという、大きな4つの目標を挙げました。10 年をかけて他団体・行政との関係や政治向きとの関わり、将来に負担を残さずという 3 つの項目は、多少自画自賛になりますが概ね達成できたものと思います。しかしながら、風通しの良い会務運営については、自身が目指した水準に達するまでに至っていただろうかと思うと、少々悔いが残ります。

この 10 年で薬剤師を取り巻く環境は大きく変化しました。地域医療提供体制を構築する上で、医薬品の地域への適切な供給体制は不可欠な要素で、それを担う薬剤師・薬局に対しては様々な分野から大きな期待が寄せられています。その一方、評価の裏腹で、薬剤師・薬局に向けられる様々な指摘や批判も少なからず聞こえてきます。 1974 年(昭和 49 年)の分業元年から半世紀を経た本年は、これまでの 50 年を振り返り、その都度出くわした様々な2事象に対する日薬の対応を紐解きながら、薬剤師・薬局の業務や社会的使命について再確認し、次の 50 年に向けた第一歩を踏み出す時と思います。古い時代のしっぽを反面教師として、柔軟な思考を持ちつつ根幹は揺るがせにせず、薬剤師の多様性ある未来を目指すために広くアンテナを立て、都道府県薬剤師会や各地域薬剤師会会員の皆様の声を隅々まで収集できるネットワークを活用し、丁寧な状況説明を心掛け、次世代に向けて歩みを進める姿勢を持った日薬が求められているものと思います。甚だ非力で、自身ではこうした視点での会務運営は十分に成し得なかったことは、慙愧に堪えません。

改めて、会長としての 10 年間を支えて頂いた代議員の皆様には心より御礼を申し上げます。また、執行部として会長を支えて下さった役員の皆様、折々に紙面でも叱咤激励を頂いた業界紙の記者の皆様、そして、常に傍にいて我儘な会長をなだめ、おだて、陰に日向に支えてくれた事務局の皆様に、あらためて深甚の御礼を申し上げます。

おわりに、ちょっと格好つけて「 Old soldiers never die. They just fadeaway」と、マッカーサー将軍の言葉を真似て、新執行部のリーダーシップの下、大好きな日薬がこれからも薬剤師の総本山として存在することを確信し、会長演述と致します。ありがとうございました。

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