どうする?カーテンのにおいとカビ。梅雨時期に雑菌を撃退するナチュラル掃除

梅雨の時期は、気づかぬうちにはびこるカビやにおい、じっとりジメジメが気になりますね。手軽にスカッとさせるには? ナチュラルクリーニング講師の本橋ひろえさんに、お手入れ術をうかがいます。ふだんお手入れをサボりがちなカーテンや布張りのソファなどのカビやにおいについて教えていただきましょう。

★トイレの臭いを撃退!★

カーテンのにおいとカビ、どうする?

しとしと雨が続くと、カーテンのジメジメやにおいが気になります。カーテンにもカビが生えるのでしょうか?

「カーテンも湿気を吸って水分が下にたまり、裾のほうがカビることがありますね。窓の結露が原因で、白いレースのカーテンの裾に黒カビが生えるので、毎年買い換えている、というお宅もあります」

では、カーテンのカビやにおいを予防するにはどうしたらよいのでしょう?

「カビ予防や雑菌のにおい対策には、アルコールが効きます。まだカビが生えていない場合やにおいが気になるときには、アルコール水(作り方は下記)を1日1回、カーテンの裾を中心にしっとりするくらいシュッシュとスプレーすることをおすすめします」

洗えない厚地の遮光カーテンや、シルクのカーテンなどの場合でも、スプレーで手軽にカビ予防ができます。

【アルコール水とは?】
アルコールは医療現場でも使われる消毒薬。除菌、防カビ、防臭などの効果抜群。アルコールは劣化しにくいので、水で薄めてスプレーボトルに入れて使うと家の掃除や手入れにも便利。皮脂汚れ、手垢にも有効。アルコールは揮発するので、二度ぶき不用。布製品にスプレーしても後に残らない。

【アルコール水の作り方】
①アルコール使用可のスプレーボトルを用意する。
②スプレーボトルに水110cc、消毒用エタノール(アルコール分80%程度)90ccの順に入れて、1カップ分のアルコール水を作る。

※この割合よりアルコール濃度が低いと効果が弱まり、濃度が高いと消毒除菌効果は上がるが、使う場所の素材を傷める恐れがある。
※引火性があるので、火のそばで使わないこと。
※使用時は、ゴム手袋などを着用して。

ところで、アルコール水を作る代わりに、市販のアルコール除菌スプレーで代用してもよいのでしょうか。

「市販の製品を使うときは、成分表示をチェックして。いろいろな成分が混ざっていることがあります。除菌を目的としたもので、成分が消毒用エタノールと有機酸ならOKです。

消毒、除菌、抗菌の3種類のうち、消毒はウイルスの感染力をなくして無害化するもので、3種の中では最も強力です。除菌は菌の数を減らし、カビの繁殖を抑えます。抗菌は、それ以上の菌の繁殖を止めますが、除菌効果はありません」

においの種類によっては、重曹水やクエン酸水を

においの種類によっては、アルコール水以外の方法が向くこともあります。

「焼肉のにおいなど油のにおいが強い場合には、重曹を水で溶かした重曹水(作り方は下記)を使います。また、タバコやペットのトイレのにおいならクエン酸水(作り方下記)をスプレーしてみてください」

何のにおいか判別が難しく、アルコール水と重曹水をダブル使いしたいとき、同時にスプレーするのはNGだそう。

「アルコール水はすぐに揮発しますから、まずアルコール水。それでにおいがとれなかったら、アルコールが乾いてから重曹水の順番でスプレーしましょう。重曹水は乾きにくいので後にします」

【重曹水とは?】
重曹は、水に溶けてはじめてアルカリ性の洗剤として効果を発揮。油のにおいなどの消臭効果も。粉のままでは消臭効果はない。

【重曹水の作り方】
① 40℃の湯200ccに、小さじ1/2の重曹をよく溶かす。
② スプレーボトルに入れて使う。消臭なら直接スプレーする。掃除なら、クロスにスプレーして拭く。

【クエン酸水とは?】
アンモニア臭や焼き魚、タバコのにおいなど、アルカリ性の強いにおいの消臭に効果的。浴室やキッチン、トイレの水あか、石けんカスを落とす作用も。

【クエン酸水の作り方】
① 水1カップに、クエン酸小さじ1/2を入れてよく混ぜる。
② スプレーボトルに入れて使う。消臭ならそのままスプレー。クロスにスプレーして掃除にも。

アルコール水、重曹水、クエン酸水をスプレーしても、カーテンにシミが残ることはありません。

カーテンだけでなく、ソファや椅子、ラグなど、洗えない布製品の気になるにおいにも、アルコール水や重曹水、クエン酸水のスプレーが役立ちます。

「洗えるレースや化繊のカーテンなら、はずしてザブザブ洗濯するのがいちばんです。酸素系の漂白剤(粉末タイプ)を洗剤と一緒に入れて洗うと、より効果的です。洗ったカーテンは、カーテンレールにかけて干してもよいでしょう」

酸素系漂白剤

色物の洗濯にも使える漂白剤として市販されている。過炭酸ナトリウムともいう。衣類や食器、ふきんの漂白はもちろん、アルカリが強く洗浄力も高いので油汚れやカビ、雑菌にも効果大。

カビは、温度+湿度(水分)+栄養源(汚れ)の3拍子そろうと繁殖!

梅雨の時期は、家の中が湿っぽくなり、カビの出現も気になります。
そもそも、梅雨時になるとなぜカビが生えるのでしょうか。

「カビが繁殖するには、3つの条件が必要です。それは、温度と湿度(水分)とカビの栄養になる汚れ。温度が20℃以上で水分と汚れがあるとカビの最適な生育環境となります。最近の日本の住宅は温度が20℃以上に保たれ、密閉性も高いので年間を通して注意が必要ですが、とくに梅雨の時期は3条件がそろいやすいため、カビが発生しやすくなります」

【カビが好む3条件】

①温度……カビの好む温度は20〜30℃。人にも快適な温度で、カビはもっとも繁殖しやすい。

②湿度……シンクや浴室の水滴、窓の結露、押し入れなどの湿気。いつまでも残る水分があるとカビは活動を開始。

③栄養源……食べ物のカス、皮脂や髪の毛、流しきれなかった洗剤やシャンプーなども栄養源になる。

カビを予防するには、この3要素のどれかをなくせばいいというわけです。

「カビの胞子は空気中を浮遊して、落ち着き場所を探しています。玄関のドアや窓を開けた瞬間、外から入ってくることもあります。浴室やキッチン、湿ったカーテン、壁紙の後ろなどに胞子がくっついて根をおろし、繁殖して黒カビとして出てくることもあります。胞子をゼロにすることはほぼムリ。

でも、カビの生育3条件=温度と湿度と栄養源のうち1つでも揃わなければ、カビは根をおろして繁殖することはできず、勢いを失います。一方。3条件が揃っていったん黒カビになってしまうと落としにくくなります。黒カビになる前に、汚れを落とし、水分をしっかり乾かして、カビ対策をしましょう」

では、カビが好む場所はどんなところでしょうか?

「それぞれの家によってさまざまです。どの家でも共通するのは、浴室ですね。浴室は、温度が高く、水分が常にある状態ですから、ここにシャンプーの残りや髪の毛などが加われば、あっという間にカビにとって好環境に。浴室で繁殖したカビの胞子が空気の流れに乗って、別の部屋に根をおろすこともままあります」

カビを見つけたら、胞子が他の部屋に飛んでいかないように、そこでくい止めることが大事、と本橋さんは強調します。

「浴室のカビ予防で大事なのは乾燥させること。換気扇を回し、シャワーのあと水切りのスクイージーやクロスで水滴を拭き取り、浴室内を早く乾かしましょう」

※2023年6月16日に配信した記事を再編集しています。


監修者
ナチュラルクリーニング講師 本橋ひろえ

もとはし・ひろえ●ナチュラルクリーニング講師
北里大学卒業後、室町化学工業にて合成洗剤製造などに携わる。結婚後、改めて洗剤に興味をもち、2006年より東京を中心にナチュラルクリーニング講座を開催。著書に『ナチュラルおそうじ大全』(主婦の友社)など。

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