【ガーデニング】育てて楽しい多年草ハーブ【フェンネル】の栽培方法と活用アイデア3選

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。今回は【フェンネル】です。

本連載の他、桐原春子さんの記事は↓↓

魚料理と相性のよい【フェンネル】

フェンネルは最も古くから利用されてきた歴史あるハーブのひとつ。

魚料理と相性がよいことで知られますが、日常での幅広い利用法をもう少し学んでみましょう。

別名/ウイキョウ(和名)
科名/セリ科
性質/多年草
草丈/1~2m

未体験の味わい

フェンネルは約4000年前には古代エジプトで栽培されていた歴史の古いハーブで、王であるファラオの医学書には、タネを薬用にしたという記述が残されています。ギリシア時代には痩身の目的で、ローマ時代には薬用、料理用で使われていました。

桐原春子さんがフェンネルの特長を体感したのは30年以上前、姉・熊井明子さんとの共著『ハーブ&ポプリ 英国風の楽しみ方』の撮影でロンドンを訪れていたとき。

「図書館で古い文献をあたっていたのですが、併設の食堂に行くとポテトサラダが出たのです。それにフェンネルの未熟果(未熟な種子)が振りかけてあり、甘くさわやかでコクがあるのに驚きました。フェンネルは日本ではまだなじみが薄く、こんなふうにして食べるとおいしいのだとわかり、貴重な体験でした」

以来、自宅でフェンネルを育て、茎葉を料理やビネガーの香りづけに、タネは香りづけの他、パンやお菓子に混ぜて使っているそう。フレッシュでもドライでも利用が可能。

「フェンネルは魚料理のくさみを消すとされますが、肉料理との相性もよいので試してみてください。フローレンスフェンネルは丸く太い茎をゆでて食べてもおいしいですよ」

美しい葉をブーケやガーデニングに

フェンネルの繊細な葉はガーデニングやブーケ、クラフトでも活躍。

「黄色い花がいっぱいに咲くと華やかでブーケにしてもきれいです。ブロンズフェンネルは葉の色がシックで素敵なアクセントになります」

栽培はタネまきか苗から。

「茎が伸びだしたら株元に土を寄せるとしっかり育ちます。鉢植えは高さ30㎝超の深鉢で。秋に子株ができるので、これを育て次につなげます」

地植えでは大きく育ち迫力満点

直径20㎝ほどのバスケットに、基本種のスイートフェンネル(手前左)とフローレンスフェンネル(奥)、葉が褐色のブロンズフェンネルのポット苗を入れました。

糸のような葉がやさしげな風情ですが、地植えにすると株元がしっかりとした大型の株になり、2mほどになることも。

夏には小さな黄色の花が傘状になり集まって咲きます。

活用アイデア①② ポテトサラダ&鯛のソテー

魚料理に欠かせないフェンネルを使ったソテー。アルミホイルをしっかりと閉じて香りを封じ込めましょう。鯛の上品な味にフェンネルの甘くさわやかな香りが加わり、グレード感の高い一皿に。

フェンネルのつぼみを散らしたサラダは彩りもよく、桐原さんのロンドンでの思い出が味わえます。

サラダの作り方(2人分。フェンネルはいずれもフレッシュ)

❶じゃがいも大2個の皮をむいて一口大に切り、やわらかくなるまでゆでる。ざるに上げて水けをきる。

❷①に、粗みじんに切ったフェンネルの葉大さじ1、マヨネーズ大さじ2、塩・こしょう・オリーブ油各適量を加えて混ぜる。器に盛り、フェンネルのつぼみや未熟果適量を散らす。フェンネルの葉やミニトマトを適宜添える。

ソテーの作り方(2人分)

❶ブラウンマッシュルーム20個は石づきを落として薄切りにし、レモン汁適量をかける。鍋にバター10gを入れて中火にかけ、マッシュルームを加えてこしょう適量を振り、マッシュルームが透き通るくらいまで煮る。

❷鯛の切り身4切れは水けをふく。25㎝角のアルミホイルを2枚用意し、フェンネルの茎葉(フレッシュ)適量、鯛と①を半量ずつのせて、オリーブ油少々をたらし、塩・こしょう各適量を振って包む。オーブントースターの天板にのせ、鯛に火が通るまで加熱する。器に盛り、輪切りにしたレモンを適宜添える。

活用アイデア② ドリームキャッチャー

ドリームキャッチャーとはアメリカの先住民が考えた悪夢よけのお守りのこと。円には眠りと再生の意味があり、くもの巣のような網目は悪夢をすくい取るといわれています。これに中世ヨーロッパで悪霊を防ぐ効果があるとされたフェンネルをプラス。

作る際は最初の糸をしっかりと結びつけ、糸を引きぎみに巻きつけていくのがポイントです。

作り方

❶2㎜太さのアルミワイヤ200㎝で、直径18㎝の二重の輪を作る。残っているワイヤを輪にぐるぐると巻きつけ、輪を束ねる。残ったワイヤで鳥など好みの形をつくり、好みのリボンを巻きつけてもよい。輪を8分割した場所に油性ペンで印をつける(イラストの①~⑧)。

❷たこ糸260㎝の5㎝を残して印①の場所に結びつける。残りの7カ所にたこ糸を巻きつけていく。

❸印①の場所に糸を再び巻きつけ、1段めの出来上がり。2段めは印①と②の間に巻きつけ、同様に印と印の間に巻きつけていく。3段め以降は、前の段で巻きつけた場所と場所の間に巻きつけていく。糸を引っ張りながら巻きつけていき、糸が巻きつけられなくなったところで終了。糸を後ろで結び、糸を少し残して切り、接着剤で留める。

❹フェンネルの茎葉(フレッシュ)1本をワイヤに巻きつける。フェンネルの茎葉(フレッシュ)1本を地巻きワイヤで束ね、3㎜幅のリボンを巻きつけて作ったミニリースなど、好みの飾りをつける。

撮影/川部米応 イラスト/山田 円

※この記事は「ゆうゆう」2021年10月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

※2023年10月15日に配信した記事を再編集しています。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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