「ミナミノは犠牲者でしかない」南野拓実のリバプールでの“不遇”を地元メディアが回想「不運だったのは...」

南野拓実がモナコに移籍してから、ちょうど2年が経った。

2022年6月28日、南野はリバプールからモナコに完全移籍した。アンフィールドでのラストシーズンは、国内カップ戦で2冠に貢献。だが、いずれの大会もチーム得点王に輝きながら、決勝ではピッチに立てなかった。プレミアリーグでの出場機会も限られ、新たな居場所を求めてフランスに去ったのは周知のとおりだ。

専門サイト『Liverpool Echo』は28日、リバプールでの南野を回想。「ファンの間でもチーム内でも大きな興奮を生んだ移籍だったが、振り返ってみると本当には機能しなかった」と振り返っている。

「アンフィールドではミナミノにとってまったく簡単にいかなかった。常にリバプールでの彼のキャリアが爆発しなかった理由があった。タイトルを獲得したシーズンの半ばに加入し、新たな文化への適応を試みているときに新型コロナウイルスのパンデミックに阻まれ、最初から遅れを取り戻そうとしなければいけなかったのだ」

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厳しいポジション争いがあったのも記憶に新しい。同メディアは「初めてフルに臨めるプレシーズンを奪われた彼は、さらに序列のうえでもモハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネというアンタッチャブルなトリオがいると知ることになった。このトリオを崩せなかった選手は彼が初めてではないだろう」と続けた。

「2021年夏にはディオゴ・ジョッタが、その1年半後にはルイス・ディアスが加わり、ディボック・オリギもときに決定的な瞬間をもたらしていたなかで、ミナミノが部分的にその才能を開花させ、力を垣間見せたのは、シーズン後半戦のサウサンプトンへのレンタル移籍後になってからだった」

復帰後も南野はレギュラーの座を手にすることができず。前述のように国内カップ戦2冠に大きく貢献したものの、Liverpool Echoは「最終的に移籍することになったのも驚きではなかった」と報じている。

「ミナミノにとって不運だったのは、当時の状況下での期待が大きすぎたことだ。少なくとも、彼にとって、5人交代制のプレミアリーグへの導入は遅すぎた」

同メディアは「正しい移籍だったが、タイミングを間違った。もしもマネやナビ・ケイタのようにザルツブルクからリバプールに移籍するまでに間を挟んでいたら、彼のリバプールでの物語は終わっていなかったかもしれない。マネと一緒に去るのではなく、マネの代わりとなっていたかもしれない」と締めくくった。

「リバプールは好機と見て賭けに出た。3年後、彼は2つのトロフィーと最大825万ポンド(約16億5000万円)の利益をもたらし、ミナミノは2つの優勝のメダルを手にした。だが、悔しさが残ることに。それでも、顔を上げて去ることができた。リバプールでの彼は状況の犠牲者でしかなかったのだ」

時期が違えば、南野はリバプールでもっと足跡を残すことができたかもしれない。「たられば」は禁物だが、マージーサイドでもっと“タキ”を見たかったというファンも少なくないのでないだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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