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認知症について取り上げていきます。
まずは簡単にもの忘れのチェックをしてみましょう。
まずはこちらの絵を覚えて下さい。
では、次にこちら。
▽きょうは何月何日ですか?
▽100-7=?
▽93-7=?
では、数字しか書かれていないアナログ時計の文字盤に10時10分の針を書き込んでください。
では最後に、最初のカードに書かれていたものは?
実はこのチェックで間違えた場合は軽度の認知症のおそれもあり、受診が勧められるということです。
年齢を重ねていけば誰でもなり得る認知症は軽度の人を含めると2040年に1000万人を超える見込みです。
一方で、画期的な薬も登場し山梨県内の現場からも期待の声が上がっています。
厚生労働省によりますと65歳以上で認知症の人は2040年に584万人、2060年には645万人と推計されています。
高齢者の5.6人に1人が認知症となる計算です。
また今回初めて認知症の手前の状態「軽度認知障害」についても調査し、2040年に613万人、2060年は632万人となりました。
この2つをあわせると16年後に1000万人を超えることになります。
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長: 「高齢人口が増えれば65歳以上が増えておりますので、そう考えると認知症を疑うべき患者さんは増えています」
認知症についてMRIや血液検査など詳細な診断を行う甲府脳神経外科病院です。
この日も患者が診察に訪れていました。
50代の女性: 「(認知症と聞いた時には)私が?って感じ。まだそんなに年をとっていないので」
この病院では去年承認されたアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を治療に活用しています。
先ほどの女性もレカネマブを使っています。
レカネマブを使用 50代の女性: 「最初は(症状が)あったけれど今は全く」
認知症の女性の家族: 「効く薬があったら使っていただくといいと思いますよ」 「安心感がありますよね、使ってちょっとでもよくなれば」
レカネマブは認知症にとって「画期的な薬」とも言われています。
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長: 「認知症は正常細胞が減ってしまうことがそもそもの原因ですので、正常細胞がなんで減るかということはわかってきました」
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長: 「最も典型的なのは『アミロイドβ』という悪いタンパク質が脳の中に増えるからということが分かってきた。それに対して悪いタンパク質を中和させる抗体があります」 「レカネマブは悪いタンパク質をコントロールする。中和抗体なので作用を抑えるということ。抑えれば正常細胞がいつまでも残っていられるので認知症状が今の段階で維持され、今よりも悪くならない。そこで止めるのがレカネマブの仕事」
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長: 「今の状態を保てるのではないかというのが治験段階でわかっているので、レカネマブが期待されているわけです」 「他の薬は使ってもやはり年々(認知機能は)落ちてしまいます」
こちらの病院では今年2月から今月までで12人がレカネマブを投与しています。
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長: 「今の段階では『良い』というイメージを持っていますけれど、少なくとも悪くなっていない。目的は悪くならなければそれを良しとするお薬ですのでね」
ただし、レカネマブは認知症を「回復」「治す」というより、進行を止める薬です。そのため投与にも条件があります。
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長: 「本当に初期段階の入り口の方です。正常細胞が増えるわけではありませんので、その状態がよくなるという話はない。夜徘徊して帰ってこられなくなるなど、どなたが見ても認知症というレベルまで進行してしまった方については現段階では適用外、対象にならないというのが現状」
また副反応のおそれや高額な治療費も…
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長:
「脳内出血を助長する可能性があることと、脳がむくんでしまう可能性がある。したがって(レカネマブの)注射をできる人は『血液サラサラの薬』を飲んでいる方は慎重投与ということになります」
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長: 「(費用は)多くの人の場合は1割、2割負担の方が多いので、最終的には1年半注射するのが原則として、この期間としては30万円前後どうしてもかかってしまいますね」
高齢化に伴い認知症と向き合うことが求められる時代、この新薬が開く未来も期待されています。
甲府脳神経外科病院 篠原豊明理事長: 「何とか進行を遅くしたい、そうすることによって介護費の抑制とか、あるいは医療費の抑制とかにつながるだろうと。それが半年、1年でなくて2年、3年となればこんなにいい事はない。ただそこまではお薬の効果は確認されておりません」