『来来亭』『天下一品』『山岡家』…しょうゆ、みそ、塩、こってり系「本当にうまい」チェーン系ラーメン

こってり系ラーメンの代表格『天下一品』 (photoAC)

昼飯はもちろん、朝食や、飲み会帰りの一杯まで、国民を支えてきたラーメン。そんなラーメン界で今、チェーン店がアツい。高いクオリティはツウをもうならせるところとなっている。そこで今回は、ラーメンのプロと徹底取材し、しょうゆ、みそ、塩、こってりの4大ジャンルで、ベスト3を選出してみた。

ラーメンの発祥は、中国から伝来した麺料理に、しょうゆ味が加えられ、“日本式”に進化したことが始まりだとされている。

「1910年、尾崎貫一氏が『淺草 來々軒』を創業し、ラーメンの前身である“南京そば”を改良して、しょうゆスープにモチモチ麺、チャーシュー、メンマを合わせた“らうめん”を出しました。それが大ヒットして、日本初のラーメンブームが起きたんです」(グルメ誌ライター)

しょうゆラーメンこそ日本のラーメン文化の原点なのだ。そんな、しょうゆ部門の第3位は『丸源ラーメン』。全国200店舗を超える人気チェーンで、看板商品は、“熟成しょうゆ”を使った、肉そば(759円、税込=以下同)だ。フードジャーナリスト・はんつ遠藤氏は、次のように言う。

「背脂の浮いた熟成しょうゆスープに、柔らかく炊いた豚バラ肉をたっぷりと載せたボリューム満点の一品。キリッとしたしょうゆ味で、麺はもちろん、白ごはんとも相性抜群です。卓上の“どろだれラー油”を加えて、ピリ辛にするのがオススメです」

同店は、充実したサイドメニューが特徴。中でも注目は、鉄板玉子チャーハン・小(385円)だ。

「注文をすると熱々の鉄板に載ったチャーハンがテーブルに運ばれて、目の前で、溶き卵を流してくれます。半熟になった卵と、しょうゆとネギの香りをまとった、熱々のチャーハンが食べられるので、ぜひ」(前同)

■しょうゆラーメン2位はトッピングが豪華

第2位は、『山岡家』。郊外の国道沿いを中心に全国約180店舗を展開し、広い駐車場と独自のサービスで、トラック運転手などに高い人気を誇っている。

「創業者は、東京都江戸川区で弁当屋を営んでいましたが、自身の好物だったラーメンに着目し、88年に茨城県牛久市で山岡家を開業。その後、北海道、北関東と店舗を拡大し、全国区の店になりました」(同)

看板商品の醤油ラーメン(690円)は25年以上、受け継がれてきた伝統の味で、3日間煮込んだトンコツスープと、コシのあるストレート太麺を合わせた、“珠玉の一杯”だという。

「チャーシュー、ネギ、ホウレン草、のり3枚など、トッピングが豪華で満足度はピカイチ。私は、1枚目ののりはパリパリで、2枚目は麺と絡めて、3枚目はスープにつけてドロドロにして食べます。のりの香り、濃厚なトンコツスープが存分に味わえます」(同)

第1位は、『来来亭』。関西発祥の人気チェーンだが、近年は東京都をはじめ、東日本にも展開中。看板商品のラーメン(770円)の魅力を教えてくれたのは、『TVチャンピオン』ラーメン王選手権(テレビ東京系)の優勝経験を持つラーメン評論家の山本剛志氏。

「京都風のしょうゆ味の鶏ガラスープに背脂をたっぷり浮かせていて、あっさりとしつつコクのある絶妙な味付け。コシのある細麺をすすりながらチャーシューやメンマをつまめば、これぞ、しょうゆラーメンといった醍醐味を味わえます」

前出のはんつ氏は、ラーメンに唐揚げ4個と半チャーハンが付いた、がっつりB定食(1280円)もオススメだと言う。

「唐揚げと焼きめしは、京都のラーメン店の定番です。来来亭のチャーハンも、焦がしじょうゆの“焼きめし風”なので、ぜひ。また、卓上には無料サービスの梅干しがあるので、白ごはんに載せたり、〆シ メに食べて、口の中をさっぱりさせてください」

王道だからこそ、楽しみ方はさまざま。

■みそラーメンランキング

しょうゆと並ぶ王道の味は、北の大地で誕生した。

「旭川のしょうゆ、函館の塩とともに“北海道三大ラーメン”に数えられる札幌みそラーメンは、54年創業、『味の三平』(札幌市)が元祖と言われています」(前出のはんつ氏)

そんなみそラーメンを全国区にしたのが、第3位の『どさん子ラーメン』だ。「創業者の青池保氏は、デパートの北海道物産展で札幌みそラーメンに出会い、その味に感動。68年に1号店を開業して、70年代には全国1000店舗超まで展開し、昭和のみそラーメンブームを巻き起こしました」(前出のグルメ誌ライター)

同チェーンは現在、みそにこだわった『どさん子』にリブランド、そこで提供中のどさん子味噌 赤練(780円)が評判だ。

「スープは、北海道の赤みそ“紅一点”をはじめ、数種をブレンドした特製みそを使用。ガツンと濃厚なスープと、北海道産小麦100%の極太ちぢれ麺を合わせた、男性好みの一杯でした」(前出の山本氏)

また、同店はチェーン店ながら、各店それぞれに個性があるのも特徴で、

「特に、東京の亀有南口店は大人気です。王道の味噌ラーメン(700円)の他、中華の一品料理が充実していて、店内は晩酌をする常連客でにぎわっています」(前出のはんつ氏)

第2位は、『麺場 田所商店』。国内170店舗に加え、海外にも進出。アメリカのニューヨーク店は、5年連続ミシュランガイドに掲載された人気店だという。

「創業者の田所史之氏の実家が、福島県の味噌醸造所という背景から、“北海道みそ”をはじめ、5種の熟成みそを使ったラーメンを提供しています」(前同)

どの味を注文するか迷うが、やはり、オススメは王道の北海道味噌らーめん(869円)だという。

「甘く香り豊かで、トロッとした口当たりのスープが、麺に絡んで絶品。また、フライドポテトがのっていて、これがまたスープとよく合います。サイドメニューに、北海道みそを隠し味にした味噌唐揚げ(539円)があるので、一緒に食べてみてください」(同)

■1位はあっさりスープが特徴

第1位は、『くるまやラーメン』。東北・関東地方を中心に高い人気を誇る、老舗ラーメンチェーンだ。

「1968年の創業で、当初は、大きなバスを改装したラーメン屋台をしていたことから、“くるまや”という名前がつきました」(同)

前出の山本氏は、看板商品の味噌ラーメン(780円)を推薦した。

「あっさりとしたスープで、炒めた野菜の甘さを感じられる、往年のみそラーメンファンにはたまらない味。また、バターや納豆などのトッピングが豊富なので、何度も通って、自分好みの一杯を見つけるという楽しさがあります」

また、くるまやラーメンの代名詞が、真っ赤な“辛みねぎ”。それを載せた、ネギ味噌ラーメン(1010円)も一食の価値あり。

「ニンニクの効いたみそスープに、ラー油で真っ赤にコーティングされたネギを浸しながら食べると、汗をかきながら麺をすする爽快感が味わえます。暑い季節こそよりおいしいです。さらに、くるまやは半ライス無料サービスがあるので、ラーメンおじやにするのもオススメですよ」(前同)

みその数だけ味がある!

■塩ラーメンの奥深さ

定番の味ながら、なかなか手が伸びないという人も多い塩ラーメンだが、店の個性が最も出ると言う。

「スープがあっさりとして、シンプルですが、だしを取る食材や、味の組み合わせで各店が個性を出しているので、食べ歩きが楽しいんです」(前出のはんつ氏)

そんな塩部門の第3位は、『おおぎやラーメン』。

「72年に群馬県安中市で創業した老舗チェーンで、首都圏や他の地域ではあまり知られていませんが、実は、国道沿いの激戦区である北関東地方で根強い人気を誇っています」(前同)

そして、しおラーメン(770〜790円)は、

「淡麗な塩スープに、ワカメのうま味が加わって、じんわりと染みるようなおいしさ。群馬県産の小麦を使用したトロみのある特製麺とも相性抜群でした。また、ラーメンにもつ煮が付いた、ミニもつ煮ランチ(970円)があります。もつ煮をラーメンに入れると、また違ったおいしさがあるので、ぜひお試しを」(同)

第2位は、『塩元帥』。関西地方で大人気のチェーン店である。

「もとは、『総大醤』という、しょうゆラーメンの有名店でしたが、そこで出した塩ラーメンが人気になり、『塩元帥』が誕生しました」(山本氏)

看板商品の天然塩ラーメン(891円)は、70種類の食材を使った秘伝のスープが特徴。

「塩をグッと効かせていながら、タレの深みも感じられる絶妙な味つけ。また、手作りの自家製麺を使っていて、そのこだわりようは個人経営店にも負けていません。本格派の人も納得だと思います」(前同)

また、関西地方ならではのサイドメニューも魅力で、

「牛スジ肉をみそで甘辛く煮た“どて焼き”を載せた、どて丼(616円)や、せんさいな味で、磯の香りを感じられる、じゃこ飯(363円)など、ごはん類も絶品です」(前出のはんつ氏)

■全国250店舗超を展開しているチェーンが1位

第1位は、『らあめん花月嵐』。ラーメン店の枠にとらわれず、『ゴーゴーカレー』など、多種多様な店とのコラボ商品で人気を博すチェーンで、今や全国250店舗超を展開している。

オススメは、嵐げんこつらあめん塩(840円)。

「塩ラーメンの中では珍しく、たっぷりの背脂が浮いていて、コクとうま味が凝縮したスープを堪能できます。また、具に大きなチャーシュー、煮卵、のりがのっていて、とても食べ応えがあります」(前同)

そのまま食べても十分においしいが、せっかくなら、店独自のトッピングを楽しんでもらいたい。

「卓上にある、しょうゆだれを入れて、しょうゆ風に味変するのもよし。でも、定番は、激辛壺ニラもやし。通販でも買える人気商品ですが、お店で食べる際は、3皿まで無料サービスで注文できるので、ぜひ。ラーメンに入れると、ピリ辛のスタミナ系になって、おいしいですよ」(同)

食べ歩きには塩ラーメンがオススメのようだ。

さて、ラーメンの海外人気のきっかけは、九州とんこつラーメンを中心とした、“こってり系”の台頭だった。

「87年、東京都で、とんこつラーメン専門店『なんでんかんでん』が創業したのをきっかけに、とんこつブームが到来。タレや魚介だしを合わせた、濃厚系スープが急増して、それが外国人にウケました」(前出のグルメ誌ライター)

そして、今や世界規模の人気となったのが、第3位の『一蘭』だ。

「60年創業の老舗チェーンで、現在はアメリカ、香港などに支店を展開しています。麺の固さからスープの濃さまでカスタマイズができて、“味集中カウンター”という一人用のカウンター席で食べる、独自のスタイルで有名になりました」(前出のはんつ氏)

天然とんこつラーメン(980円〜)は、

「福岡県小郡市の九州とんこつをルーツに持ち、まろやかでコクのあるスープに、真っ赤な辛みそを載せるのが特徴。1〜10まで、からさを選べて、それによってからみその量が決まります。からめを選ぶと、後を引くおいしさで、スープを飲み干してしまいます」(前同)

また、一部店舗では、限定商品も提供している。

「釜煮込み焼豚の煮汁を使ってタレにした、釜だれとんこつラーメンは、濃厚なコク、香りが口いっぱいに広がって絶品ですよ」(前出の山本氏)

■“こってりラーメン”の第2位は『一風堂』

第2位は、『一風堂』。一蘭と並ぶ、とんこつラーメンの2大巨頭である。

「創業者の河原成美氏は、福岡県博多市で小さなダイニングバーを営んでいましたが、一念発起で、85年に一風堂を創業。94年、神奈川県の『ラーメン博物館』に出店したのをきっかけに全国で人気になり、その後、世界進出を果たしました」(前出のはんつ氏)

一風堂が、ラーメン博物館に出店した際に誕生したのが、極赤丸新味(950円〜)だという。今も提供されている看板商品なので、ぜひ味わってほしい。

「正統派の九州とんこつスープに、しょうゆダレ、ニンニクが利いた香味油、からみそを合わせた、濃厚な一品。ほろりと崩れるほど柔らかい、厚切りチャーシューも魅力です」(前出の山本氏)

そして、世界的名店を抑え、こってり系ラーメンの堂々の第1位に輝いたのは『天下一品』。オススメは、看板商品のこってりラーメン(920円〜)だ。

「創業者の木村勉氏が、3年9か月もの試行錯誤の末に完成したという、鳥だしと野菜をトロトロになるまで煮詰めた濃厚スープは、唯一無二の味。ストレートの細麺とよく絡んで、すすれば、まさに口福です」(前出のはんつ氏)

また、ラーメン単品ではなく、サイドメニューも合わせて注文してほしい。

「チャーハンや餃子もよいですが、私のオススメは、こってり唐揚げ(550円)です。ポタージュのような濃厚スープを絡めて食べるもよし。また、白ごはんと合わせて丼メシにするのもよし。ボリューム満点ですよ」(前出の山本氏)

最後に、フランチャイズ方式で全国に展開する通称“ラーショ”『ラーメンショップ』も、紹介しよう。はんつ氏のイチ押しは、埼玉県幸手市の『ラーメンショップ金田亭』。

「20種類以上の食材を煮込んだ特製スープのラーメンが売り。また、群馬県産の麦豚チャーシューや岩手産のやわらかネギなど、豪華なトッピングがあり、高級店にも負けない、本格派が味わえます」(はんつ氏)

一方、山本氏は、千葉県に数店舗を展開する『ラーメンかいざん』を教えてくれた。

「ニューラーメンショップの名を掲げて創業し、今は、地域を代表する人気店に。ゴマ油をきかせた特製のネギと、とんこつしょうゆスープを合わせたパンチのある味で、多くの男性客を魅了しています」

ぜひ好みの一杯を探していただきたい。

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