物価上昇のなか200円台のローソン100の「だけ弁当」 累計550万食突破の断トツ1位と新商品のこだわり

6月26日から発売された新商品『だけ弁当(焼そば)』 ※画像は株式会社ローソンストア100提供

ローソングループで、100円前後の価格を中心に惣菜や生活用品を販売する「ローソンストア100」。6月26日から店頭に並ぶのは、おかずが1種類だけの超シンプル弁当『だけ弁当』のシリーズ第11弾となる『だけ弁当(焼そば)』(税込248円、以下同)だ。長く愛されている『だけ弁当』シリーズだが、今回は初めて「客の声」から商品化に至ったという。

『だけ弁当』は、3年前に初登場するやSNS上で大旋風を巻き起こした、おかずがウインナー5本だけの『ウインナー弁当』(216円)から始まった人気シリーズ。“お弁当にはいろいろなおかずが入るべき”という消費者の“常識”を覆し、白米とおかずが一種類だけという内容が特徴だ。これまでにミートボールだけ、のり磯辺揚げだけ、玉子焼きだけ、メンチカツだけ、ハンバーグだけなど、さまざまな種類の『だけ弁当』を展開してきた。

「企画した株式会社ローソンストア100東日本運営本部・副本部長の林弘昭氏は当時、ローソンストア100では弁当とカップ麺など、食べたいものを組み合わせて買う客が多いことから“食べたいものだけ”がおかずというお弁当を売り出す着想を得たと明かしていました。

第一弾のウインナー弁当は、2021年6月30日に関東地区だけで販売。小さいサイズで、おかずはほぼウインナーという潔さと200円台という安さは話題となり、“こういうのでいいんだよ”“国産米使用、200円でこの満足度すごいな”などといった報告がSNSで相次ぐなど、大きな反響を呼びました」(グルメライター)

ローソンストア100によれば、発売初日に弁当カテゴリー内販売数1位の座に躍り出た後、21年8月下旬には中部・近畿エリアでも販売開始し、広い地域で人気を得ていった『ウインナー弁当』。第2弾の『ミートボール弁当』(216円)が21年11月10日に発売されるまでの4か月間で約50万食を販売するなど、ローソンストア100を代表するメガヒット商品となった。

■リクエストが多くても「唐揚げ弁当」は作らなかった理由

そんな『だけ弁当』の人気を現在まで支えるのが、開発担当者がこだわった「低価格」と“あえて一品だけをガッツリ堪能する”というコンセプトであることは明白だが、これまで最も人気だったのは不動の『ウインナー弁当』。

商品の入れ替わりが激しいコンビニ商品の中でも売れ続け、株式会社ローソンストア100の広報担当者に話を聞いたところによると24年5月末時点で累計236万食の売上だというから、実に全11種の累計販売数558万食のうち4割を占める。

そして、6月26日から発売された『焼そば弁当』は、HPでおかずの要望を募ったなかから採用されたもの。数多く寄せられたであろう要望のなかからなぜ、『焼そば』をチョイスしたのか。前出・広報担当者は、弊サイトの取材に「『だけ弁当』のコンセプトにあっているかどうかで選定しております」と話す。

「実は要望の中で一番多かったメニューは唐揚げでしたが、唐揚げが主役のお弁当は他社にもあります。『だけ弁当』は、“普段は脇役のものを主役に”がテーマ。それを主軸に、“ありそうで他にないもの”という視点で考えたときに、今回は焼そばにしました」(広報担当者)

『だけ弁当』シリーズ発案者である前出の林氏と『だけ弁当』の商品開発を担当した山田克徳氏はどちらも関西地域に赴任経験があり、“焼そば+ご飯”が定食となった関西地域特有の焼きそば定食文化に触れた経験もあったことから、リクエストに応えたいという想いで開発したとのこと。

焼そばは、神戸市の老舗ソースメーカー『オリバーソース』のそばめし用ソースを使用。ご飯と焼そばを混ぜて食べてもおいしいバランスを実現した。そんな『焼きそば弁当』最大のこだわりは「天かす」だという。

「天かすを入れることによって、アクセントになるだけでなくお弁当を温めた際、油が焼そばと絡まりコクが増します」(前同)

焼そばには欠かせないあおさや紅しょうがもトッピング。味を追求しつつも価格は200円台を死守したという。

「パッケージは極力簡素化し、バラン(ご飯とおかずの仕切り)も使っていません。極限までコストを削減して、味にこだわりながらも248円(税込)という価格を実現しています。

小ぶりサイズなので、お惣菜やサラダ、デザート、麺類などと合わせて、ランチや軽食、夜食など、その時の気分やシーンによってお楽しみいただける設計になっております。焼そばが濃厚すぎると感じたらサラダやスープ、温泉卵をのせるなど、いろいろなものと合わせて無限に楽しめるのが、『だけ弁当』の特長です」(同)

ウインナー弁当よりも30円ほど高くなったとはいえ、物価高が叫ばれるなかでありがたい200円台のお弁当。そのままで食べるのはもちろん、トッピングや他の惣菜との組み合わせを考えるのも楽しいひとときをもらたしてくれそうだ。

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