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7月7日投開票の鹿児島県知事選は県全体のかじ取り役と同時に、県庁組織のトップを決める選挙でもある。民間企業や他自治体との競争が激化する売り手市場の中で、県職員の人材確保が課題となっている。
鹿児島市で16日、来春入庁予定の県職員採用試験(大卒程度)が行われた。試験を終えた鹿児島大学4年の男子学生(22)は「鹿児島の食や自然は他県に誇れる。でも本命は国家公務員」と打ち明けた。
2024年度の大卒程度試験の申込者数は451人。前年度から101人減り03年度以降最少だった。
23年度の内定辞退者数は109人で、全合格者の36.8%。国や他自治体へ就職したケースが多い。
高卒などを含めた合計受験者数は直近10年で34.9%減。技術職の農業と土木は20~22年度の採用活動で予定人員に届かなかった。
人事委員会事務局の中川寿男次長は少子化や民間企業の採用活動の活発化・早期化を挙げ、「少ないパイの奪い合いになっている」と嘆息する。
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県は本年度、庁内の行財政改革プロジェクトチームのワーキンググループに「人材確保推進チーム」を新設。内定辞退防止など人材確保策を検討する。
大卒程度の「先行実施枠」では民間採用試験で主流の「SPI3」を導入し、民間志向の学生も挑戦しやすい環境をつくっている。
採用活動が特に厳しい技術職向けに、仕事内容をイメージしやすいよう若手職員がやりがいなどを語るPR動画を作成。技術職に興味がある学生とウェブ面談する場もある。本年度から育児や介護で退職した職員の再採用制度を導入した。
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知事選に立候補した3人は、マニフェスト(政策綱領)で県組織の在り方に触れている。
新人米丸麻希子氏(49)は県庁舎内の保育所設置や組織体制の合理化で職員が業務に集中できる環境を整備。「異動期間を8~10年とする枠を設ける」と長期的な視点で専門的人材の育成に取り組む考えを示す。
新人樋之口里花氏(52)は「女性職員の積極的登用」を掲げる。県庁を先頭に企業や地域社会でも女性が力を発揮できる環境づくりを目指す。性別にかかわらず正当に評価される人事評価の検討も盛り込んだ。
現職塩田康一氏(58)は育児休業取得や兼業・副業の促進、オフィス改革、女性職員の積極的なキャリア形成支援などを列挙。若手職員の政策提案コンテストを実施し政策立案能力向上を図るとした。
新知事には、やりがいのある職場づくりを進め、質の高い行政サービス提供につなげるマネジメント力も求められる。