「今のままだとまた痛い目に」守護神が涙の訴え…久光スプリングスが再び格下に不覚、まさかの8位【V・サマーリーグ西部大会】

涙ながらにチームの危機感を訴えた久光スプリングスの西村弥菜美(右から2人目)。今秋開幕のSVリーグは笑顔のシーズンにしたい(写真はサマーリーグ2日目のJT戦から)=素材提供:JVL

バレーボール女子のV・サマーリーグ西部大会最終日は6月30日、熊本市の熊本県立総合体育館で順位決定トーナメントを行い、Vリーグ女子1部(V1)の久光スプリングスは大野石油広島オイラーズ(V2)にセットカウント1―2(28―30、26―24、12―15)で競り負け、8位で大会を終えた。サマーリーグは若手の強化育成を目的に開かれ、西部大会にはVリーグ勢など13チームが参加。優勝はトヨタ車体クインシーズ(V1)で、2位はJTマーヴェラス(V1)だった。今大会は基本的に2023~24年シーズンのチーム名表記で実施された。

久光のスターティングメンバー(第1セット)は、中島咲愛(25)、北窓絢音(19)、万代真奈美(26)、吉武美佳(21)、平山詩嫣(23)、金森晴香(28)、リベロ・西村弥菜美(24)。

肩を落とした久光の選手たちが無言でコートを後にする。出入り口まで伸びた列の先頭、大きな目に涙を浮かべていたのが、西村だった。初日のカノアラウレアーズ福岡(V3)に続いて、最終日も下位のカテゴリーのチームに白星を献上した。「シンプルに情けないし、自分らのプライドとか…。もう何だろう、昨年(23~24年シーズン)の悔しさをどう自分らが受け止めているのかというのを…。正直腹立たしいし、私自身もチームを勝たせられず、本当に情けないとしか言えません」。ため込んだ思いを吐き出した。

「自分たちのメンタルが足りない」

プレーオフで1勝もできずに終戦したのが4カ月前だった。5月の黒鷲旗全日本男女選抜大会では、筑波大に敗れた。誰もが試合で負けるたびに「この悔しさを次につなげる」と声をそろえながら、肝心の「次」への展望が開けない。SVリーグ元年となる今秋のシーズン開幕に向けて、個別で調整を続けるベテラン勢はまだチームに合流しておらず、ミドルブロッカー陣も荒木彩花(22)らが女子日本代表に招集されるなど手薄な状況。それでも中堅や若手主体でサマーリーグに臨むのは例年と同じだ。他チームも同様のメンバー構成だけに、予選グループ戦を含めた通算2勝3敗の現実は重い。大野石油戦も要所での決定力不足や、レシーブのミスから主導権を握れずに粘り負けした。

「間違ったことをやっているわけではありません。ただ、自分たちのメンタルが足りない。そこをもっと鍛えないといけないんだろうな、と感じました。技術というよりも『勝ちたい』とか『勝つ』とか…。単純なところから足りない」。副キャプテンに就任した西村が危機感を募らせるのも無理はない。悔し涙を拭うと、こう続けた。「今のままだと、また痛い目に遭う。もっとみんなが努力して、次のシーズンは『自分が出て活躍する』という気持ちを、私もそうですし、行動やプレーで出していくこと。この夏場、自分たちの学年や中堅、若手が頑張らないといけません」。7月からチーム呼称が「SAGA久光スプリングス」となる。真の強さを身に付けるため、やるべきことは多い。黒星と引き換えに得た「覚悟」を胸に、一日も無駄にできない「2024年夏」を迎える。
(西口憲一)

久光の試合結果

【6月28日】予選グループ戦

久光(V1)●1―2カノアラウレアーズ福岡(V3)

久光(V1)○2―0遼寧東港女子排球隊(中国)

【6月29日】予選グループ戦

久光(V1)○2―0フォレストリーヴズ熊本(V2)

久光(V1)●1―2JTマーヴェラス(V1)

【6月30日】順位決定トーナメント(7位決定戦)

久光(V1)●1―2大野石油広島オイラーズ(V2)

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