ヤクルト、八回一挙5点の大逆転劇 代打山田がV打「しっかり準備はできていました」

 お立ち台でガッツポーズの長岡(左)と山田(撮影・西岡正)

 「ヤクルト6-5阪神」(30日、神宮球場)

 ファンのからした声が、確かにヤクルト・山田の胸へと響いた。何度も、大声援で呼び続けられた。大逆転劇の主役は譲らない。「打席の中での大きな山田哲人コール、心に響きました。ありがたいですね」。気持ちで打った。

 4点を追う八回だった。長岡の中越え3点二塁打で同点とし、なお2死一、三塁。阪神が岩崎を投入すると、高津監督から代打で起用された。「早めの段階で左投手が来たら行くからなと言われていたので、しっかり準備はできていました」。左前に運ぶと、「自然と出た」とクールな主将が拳を握った。

 72試合を戦い、下位に低迷した前半戦を折り返した。ここまでコンディション不良で2度の離脱。さらに打率・210と不振。「全然貢献していない。残り半分。チームもそうだし、個人的にもしっかり成績を残したい」と強い覚悟を示した。

 神宮は、特別な力をくれる場所だ。子どもが定位置で先発の選手を迎える「スタメンキッズ」の時間は宝物。手紙を手渡されることもあり、「まずね。その行為自体がうれしいのよ」と笑った。震えながら勇気を出してくれる子、積極的な子。声援全てが大きな力だ。

 5位ながら首位と7差。シーズンはまだ71試合も残っている。上位浮上に必要不可欠なのは主将・山田の完全復活。もらったパワーを、一つずつ返していく。

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