阪神・佐藤輝 73戦目で今季初猛打ショー 3本全て二塁打、完全復調まであと一歩

 8回、二塁打を放ち滑り込む佐藤輝(撮影・金田祐二)

 「ヤクルト6-5阪神」(30日、神宮球場)

 敗戦の中にも、阪神・佐藤輝の存在感が光った。右へ左へ豪快な打球が飛ぶ。勝利には一歩及ばなかったが、最後の最後まで必死に食らいつき、観客を沸かせた。

 一挙5失点で、逆転を食らった直後の九回。前川が四球を選んで代走に植田が送られ、2死一塁で打席を迎えた。田口に対し、カウント1-2と追い込まれていたが、勝負はここからだった。

 4球目、外角低めのスライダーをすくい上げるように振り抜いた。逆方向に放たれた打球はぐんぐん伸び、左翼・並木の頭上を越える。しかし、一走・植田は本塁に突入するもタッチアウト。佐藤輝は表情に悔しさを浮かべ、二塁からベンチへ戻った。

 昨年5月24日の同戦(神宮)では1点劣勢の九回2死一、三塁で、田口から逆転2点適時二塁打を放っていた。昨季6打数3安打で打率・500と好相性を誇っていた左腕とは今季初対戦だったが、この日もここぞの場面で左腕を打ち崩した。ただ、無情の敗戦となってしまった。

 十分に奮闘を見せた一戦だった。1点差に迫られた六回2死ではサイスニードの151キロ高め直球をうまく捉え、右中間フェンス直撃の二塁打に。好機を演出すると、梅野の左前打で一気に本塁まで生還した。八回は先頭で木沢のスプリットを振り抜くと、鋭い打球が右翼手の右を抜けて悠々と二塁に到達。4点目のホームを踏んだ。

 今季73試合目、出場50試合目にして初の猛打賞を記録。しかも3本全てが二塁打だ。「球場にも助けられながら、感覚は良かったと思います」。これで6試合連続安打にもなった。2軍再調整から7日に再昇格して以降は打率・201まで落ち込むこともあったが、同・234まで上昇した。

 悔しい幕切れとなった試合だったが、佐藤輝は前を向いた。「できることはやったので。また火曜日から頑張ります」。背番号8の復調が希望の光。今度は首位・広島を相手に大暴れする。

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