広島・森下 圧巻!マダックス91球無四球で完封!マツダ無双28イニング連続無失点 しかも猛打賞!打率・429

 2安打完封勝利を挙げた森下(撮影・市尻達拡)

 「広島3-0ヤクルト」(25日、マツダスタジアム)

 すごい!すごすぎる!広島の森下暢仁投手(26)が100球未満で完封する“マダックス”と猛打賞を同時に達成する大暴れだ。球数はわずか91球で、浴びた安打は2本のみと圧巻の投球を披露。完封は昨季7月12日・巨人戦以来で、打っては今季2度目の猛打賞をマークした。チームは3週間ぶりの本拠地での試合で快勝し、首位の座をがっちりキープした。

 小雨の降る中、最後の打者を二ゴロに抑えると森下は軽くグラブを数回たたいた。野手陣とハイタッチを交わし、女房役・会沢とはがっちり握手。圧巻、そしてあっという間の91球だった。球団では09年大竹寛以来の“マダックス”を達成。「いいスタートを切れたらいいなと思っていた。ほっとしています」とお立ち台で汗を拭った。

 今季2度目の対戦となったヤクルト打線は、初回から早打ちを仕掛けてきた。「相手打者も早く打ってきていた。打ち損じてくれていたのが大きかった」とカットボールを軸に凡打の山を築く。四、五回は6球ずつで三者凡退に抑えるなど、五回までわずか46球で1安打に封じた。

 唯一、得点圏に走者を背負ったのは六回。先頭の松本直の右前打と犠打で1死二塁も「とにかくアウトを取ることだけを考えていた」と冷静だった。後続を打ち取りピンチを脱出。直後に味方が3点を奪い「完封を狙うぞ」と七回以降はギアを上げ、9者連続でアウトを積み重ねた。

 輝いたのはマウンドだけではない。三回の第1打席で高橋の直球を右前に運ぶと、五回は中前へ。六回は再び一、二塁間を破り、今季2度目の猛打賞。「引っ張ろうとした打球がライト方向に。たまたま、間を抜けているって感じです」と謙遜するも、被安打2を上回る3安打で、打率は・429まで上昇。投打で千両役者ぶりを発揮した。

 西鉄・稲尾和久が、1968年9月1日の近鉄戦で記録している“マダックス”と猛打賞の同時達成という快挙。この日の完封で、本拠地では28イニング連続無失点と“無双”状態も継続だ。「なんかしっくりきているというか、良いテンポで投げられているのは確かにあるなと思います」と、試合開始時から降り出した雨の中でも、声援を送り続けた鯉党の力も背に、腕を振った。

 新井監督も今季初めて“週頭”の火曜日を託した右腕の働きを「(期待に)100%以上応えてくれた」と絶賛。「素晴らしいマダックスを見させていただきました」と最大限の賛辞を贈った。3週間ぶりの本拠地での一戦を快勝で飾り、貯金は再び7に。2位で並ぶ阪神と巨人とのゲーム差を3に広げた。投げて良し、打って良し。背番号18の最高の笑顔がはじけた夜になった。

 ◆マダックス&猛打賞 マダックス&猛打賞の同時達成投手としては、西鉄・稲尾和久が1968年9月1日・近鉄戦(ダブルヘッダー2試合目)で9回(99球)2安打無失点。打っては4打数3安打1本塁打1打点を記録した例がある。また、広島投手の完封勝利&3安打猛打賞の例は1956年7月26日・国鉄戦での長谷川良平。9回(120球)3安打無失点で3打数3安打。なお、1シーズンに複数回の猛打賞を記録した広島投手は85年・川口和久が2度記録している。

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