卓越した人材確保「チーム戦」 エフレイ、新組織設置へ

 福島国際研究教育機構(エフレイ)が各研究分野の最先端動向を把握し、卓越した人材を獲得する専門チームを設ける方向で検討していることが30日、分かった。世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指すエフレイにとって有力研究者の確保は最重要課題で、数年以内の設置を目指す。国際的な情報収集に組織として臨み、世界と渡り合う体制構築と戦略立案につなげる狙いだ。

 関係者によると、専門チームは海外各国の論文を収集、精査するほか、国際会議やシンポジウムなどに積極的に足を運び、研究内容と人材に関する最新情報を取得する。課や室などの形で新たに組織することを想定している。

 エフレイは研究者を支援する専門職「リサーチ・アドミニストレーター(RA)」を雇用する方針だが、補助の色合いが強いRAに比べ、専門チームはより重い職責を担う見通し。高度なコミュニケーション能力や語学力、国際的知名度などを持つ人材で構成するとみられる。

 国内では、科学技術の国際動向を常に把握するための組織は一部のトップ研究機関にのみ存在し、一般の大学では教授らの個別対応によるところが大きいとされる。エフレイはロボットや農林水産業、エネルギーなど重点5分野を設定。専門チームが得た情報を研究に反映させつつ、優秀な外国人研究者を発掘、招致することで「世界に負けない研究体制」(エフレイ幹部)の礎にする。一方、所属する研究者は自身の専門に集中できることも利点だ。

 エフレイは2029年度までに50人の研究代表者(ユニットリーダー)を確保し、それぞれ10人前後のチームを設ける方針。山崎光悦理事長は研究者計500人のうち3割程度を海外から誘致する考えで、昨年4月の設立以降、主に欧米で打診を続けてきた。これまでに国内外から4人の研究代表者を採用している。

 エフレイの人材確保戦略を巡っては、国が手厚く支援する「国際卓越研究大」の報酬や研究環境などを常に把握し、研究代表者の処遇に反映させる方針も新たに判明した。より満足度の高い環境を用意し、確保した人材の流出を防ぐ狙いとみられる。「世界」を見据えた体制づくりに向け、方向性が徐々に見えてきた。

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