手話で語り継ぐ...震災の経験教訓 富岡、語り部育成講座スタート

震災・原発事故体験を手話で伝える受講生(右)

 NPO法人富岡町3.11を語る会は30日、県聴覚障害者協会と連携した語り部育成講座をスタートさせた。受講生27人が全4回の講座を経て、11月に富岡町で行われる伝承祭で学びの成果を発表する。

 本県に手話を使って活動する語り部は現時点でおらず、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の経験や教訓を手話で伝えようと育成する。受講生は、被災地を巡るバスツアーなどを通して語りたい内容を吟味した上で、それを表現する話し方などを学ぶ。

 初回は郡山市で開講式と第1回講座が行われ、同協会所属の聴覚障害者11人、手話通訳者14人が出席。語る会の青木淑子代表は、画像を交えたモデル口演を披露し「原子力災害は他の災害と異なり、容易に修復できない残酷なもの。皆さんの素晴らしい手話表現で、自分にとっての3.11を分かりやすく伝えられるよう考え、話してほしい」と呼びかけた。

 受講者は「伝えてみよう私の3.11」をテーマに、音声の聞き取りにくい人たちにも震災・原発事故の経験・教訓が伝わるよう豊かな表情を交えた手話実演に挑戦した。

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