一度きれいにしたらそれで終わり、とはいかないのが片づけ。無理なく続けられる収納法でなければ、リバウンドを起こしてしまう可能性もあります。整理収納コンサルタントの須藤昌子さんに、脱リバウンドの収納法を伺いました。後半ではキッチンと水まわりの収納を見直します。
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収納の正解は一つだけではない!
頑張って片づけをしてみたものの、しばらくしたらまた散らかった状態に……。そんな片づけのリバウンドを経験したことがある人は意外と多いかもしれません。
リバウンドする原因は「モノの定位置がないから」などとよくいわれますが、仮に定位置があったとしても、その収納法が自分の家や暮らしにフィットしていなければリバウンドは起こります。たとえば「収納ボックスにモノを入れると家は片づく」といわれて入れてみても、中に入れるものによっては使いにくい場合も。そこから片づけが崩壊していきます。つまり、本やインターネットなどの情報から得た収納法は、そのまま採用しても自分には合わない場合があるということです。
これまでに片づけのサポートをしてきたお宅でも、「吊るし収納がいい」と何かで読んだからと、すべてのものを吊るしてしまっている方がいました。確かに吊るし収納にはメリットもありますが、場所によっては動きにくさや暮らしにくさが生じることもあります。「こうしなきゃ」という思い込みが、逆に使いにくい原因になっている。そういう家はリバウンドしやすいし、いつまでも片づきません。
では、どうやったら使いやすくなるのか。思い込みを取っ払って収納法を見直してみると、「キッチンツールは吊るしておくより立てたほうがすっきり見えるな」「お皿は重ねてしまうのが当たり前だと思っていたけれど、立てて収納したほうが出し入れしやすいかも」「今使っている収納ボックスはサイズを変えたほうが使いやすいな」など、自分の家や暮らし方に合うこと、合わないことに気づけるはずです。
収納の正解は一つではありません。そこで、このあとは暮らし方や収納スペース、使用頻度などに応じた複数の収納アイデアをご紹介します。どちらかが×ということではなく、どちらも○だったり、人によっては△だったり。「お皿は立てて収納しましょう」ではなく、立てて収納するとこういうメリットがあるけれど、こういう人は重ねて収納したほうがいいですよ、とご提案します。
50代、60代は家族の人数やライフスタイルが変化するとき。そのときどきの自分の感覚にアンテナを立てて、「今の自分に合っているかな」「どうやったら使いやすくなるかな」と考えていきましょう。
キッチンを見直す!
食器や調理器具は毎日使うもの。だからこそ家事がしやすく、片づけやすい収納を目指したいですね。収納ケースなどを活用してすっきりと!
大きさの違う食器
皿をディッシュスタンドで立てて、引き出しに収納(A)。ひと目でわかり、ワンアクションで出し入れできます。皿の深さや大きさごとにそろえて立てると収納力が増し、すっきりします。
ただし、立てる収納はしまえる枚数が限られるうえ、引き出し収納がないキッチンには不向き。食器棚に多くの食器を収納する場合は、重ねてしまいます(B)。重ねる際は出し入れしやすいよう、多くても3〜4枚までに。
乾物やお茶
B 深めの容器に入れる△
引き出す手間がかかり、中身の管理も必要
乾物やインスタント食品などは袋ごと立て、お茶やティーバッグは見えてもかわいい瓶に入れて、浅い容器に収納(A)。上部にスペースが生まれるため、容器を手前に引き出さなくても中のものが出し入れしやすく便利です。半分見えているから使い忘れを防ぐこともできます。
収納棚に高さがあるなら、深めの容器でもOK(B)。ただし深い容器は中が見えにくく、中身をしっかり管理しないと使い忘れることに……。
フライパンなどの調理器具
コンロのそばにフックを取りつけ、フライパンなどの調理器具を吊るして見せる収納に(A)。使いたいときにサッと使え、キッチンまわりをおしゃれに演出できます。ただ、コゲや汚れがついていると見映えが悪いため、お手入れは必須。
よりすっきり見せたいなら、引き出し収納がベター。引き出しの中にファイルボックスなどを入れ、1個ずつ立ててしまえばコンパクトに収まります(B)。種類が把握しやすく、出し入れも簡単。
水まわりを見直す!
片づけや掃除をこまめにしても、雑多なものや汚れがたまりやすい浴室や洗面所。清潔さを保ちたい場所だからこそ見直してみましょう。
小物のぬめり対策
浴室の小物はそのまま置いておくと乱雑に見えるうえ、ぬめりやカビが気になります。そこでおすすめなのが吊るす収納法(A)。固形石けんは中にマグネットを埋め込み、壁に取りつけたホルダーにピタッ。シェーバーもホルダーを使って浮かせられます。
シャンプー類は、詰め替え用パックをそのまま入れて使えるボトルを活用するのも手(B)。ボトル底の接地面が小さいものを選べば、ぬめりを抑えられます。
タオルのしまい方
フェイスタオルに向いているのが巻いて収納する方法(A)。タオルを横二つ折りにし、さらに二つ折りにして端からくるくる巻きにします。スペースが小さくてもたくさん収納でき、サッと取り出しやすいという利点があります。
バスタオルを美しく収納したいなら、たたみ方をひと工夫。横長に置き、下から3分の1を折って上からかぶせ四つ折りにします。ふんわり感が出るため、そのまま置くだけでエレガントに(B)。
シンク下の活用
洗面所のシンク下には配管があり、収納スペースがいびつ。そのままモノを置くと雑然として見えるため、収納グッズを活用します。
ラックで棚を作り、上下のスペースを確保(A)。洗剤、ストックなどアイテムごとにケースにまとめて、家族にも使いやすい収納に。
シンク下は低くてモノの出し入れがしにくいため、洗濯物カゴなど大きなものの置き場にしてもOK。キャスターつきの台にのせれば取り出しやすくなります(B)。
profile
須藤昌子
すどう・まさこ●千葉県出身。整理収納コンサルタントとして2016年より活動をスタート。アメーバブログ「ROOM-COZY 心地よい生活の始め方」が人気になり、公式トップブロガーに。主な著書に『リバウンドしない収納はどっち?』(KADOKAWA)など。
※この記事は「ゆうゆう」2023年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
※2023年4月23日に配信した記事を再編集しています。