BIS、選挙前の公的債務増加に警告 金融市場混乱の恐れ

Marc Jones

[ロンドン 30日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は30日、今年複数の国で選挙が行われる中、各国政府の債務が膨らみ、金融市場が混乱する恐れがあると警告した。

BISのアグスティン・カルステンス総支配人は、世界経済は「円滑な着陸(smooth landing)」の軌道にあるものの、政策当局者は注意する必要があると述べた。

各国の公的債務はすでに記録的な水準に達している。11月の米大統領選や既に実施されたメキシコと南アフリカの選挙、フランスと英国の選挙など、選挙にはリスクが伴う。

カルステンス氏は、金利が超低水準に戻る見込みはないとし、高齢化や気候変動といった問題、防衛力再構築によるコスト上昇圧力、景気刺激策、保護主義の高まりが敏感な市場を動揺させる恐れがあると指摘した。

BISの年次報告書の発表に伴い行った会見で、英国で当時のトラス首相が発表した予算案により国内市場が混乱し、一部の年金基金が破綻の危機に追い込まれたことに言及し、こうした状況は避けるべきだと強調した。

特定の国の政府を非難しているのではないとし、メッセージは明確だと説明。「政府は公的債務の拡大を抑制し、金利がコロナ禍前の超低水準に戻らない可能性を受け入れなければならない」と語った。

一方で、コロナ禍後に数十年ぶり高水準に達したインフレ率について、各国中銀はうまく抑制していると評価。「昨年と比較してわれわれの状況ははるかに良いと言える」と語った。

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