桑木志帆の悲願のツアー初V 地元の先輩・渋野日向子との“不思議な共通点”とは?

優勝を決定づけた桑木志帆のアプローチ。実は渋野も…(撮影:佐々木啓)

<資生堂 レディスオープン 最終日◇30日◇戸塚カントリー倶楽部 西コース(神奈川県)◇6697ヤード・パー72>
 
21歳の桑木志帆がプロ4年目にして悲願のツアー初優勝、そして昨年大会で喫したプレーオフ敗退のリベンジに成功した。

岡山県出身の桑木にとって、米国女子ツアーで活躍する渋野日向子は地元の先輩で、「憧れ」ともいう存在だ。そして2019年の第1回大会(当時の名称は資生堂 アネッサ レディスオープン)では、その渋野が最大4打差を6ホールでひっくり返し、イ・ミニョン(韓国)と並ぶ首位でホールアウト。プレーオフを制してツアー2勝目を果たしている。つまり、同じタイトルを手にすることができた。

当時、渋野が優勝を決めた18番は雨が降っていたが、そのなかでグリーン左ラフからのアプローチを約70センチに寄せパーをセーブして勝利を挙げている。今回の桑木も最終18番で雨のなか同じ位置からアプローチを行い、1メートルもないウイニングパットを沈めて両手を上げた。

「18番ホールに行く前に雨が降ってて、門田さん(キャディの門田実氏)が(渋野が)優勝した時も同じような状況だったって。最後にアプローチしたところも日向子ちゃんもそこに外したみたいで、全く同じ状況だねという話をしながらやってました」

当時、渋野のキャディをつとめていたのも門田氏というのも、偶然の一致。同氏も「おもしろいのが、5年前も勝っているんですけど、渋野さんと同じところからしていますからね。それも僕がピン位置をそこに想定していて、外すなら“あそこ”に外そうねって。でもきょうは乗せられる状態から外していますから」と話す。“あそこ”は勝利を演出する運命の場所だったのかもしれない。

さらに驚くのは、プロアマ戦のときに同じ組でラウンドしたゲストが、19年にプロアマ戦で渋野と同組で回っていた人だったこと。「プロアマのお客さんが日向子ちゃんと回っていて、その年に優勝。一緒の方とプレーして、プロアマの時にはその話をしていました。(優勝)いけるんじゃないかと」。そんな予感は的中。何か縁に導かれたような、初勝利でもあった。

「将来はアメリカに行きたいという気持ちがあります」。桑木も同郷の先輩と同じく海外で戦うことが目標のひとつにある。“不思議な追体験”はまだまだ続くかもしれない。(文・高木彩音)

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